相反する力を鍛えよう!
ポータブルスキルを磨こうと思っても、数が多く、どれから着手すれば良いのか迷うところ。アイカンパニーとして必要なスキルの優先順位が知りたいものだ。
「もちろん自分の得手不得手を把握して、バランスよく磨くことが前提ですが、アイカンパニーとして希少性を高めていくためには、“相反する力”を持つことが重要とされています。弊社では、従業員に2年に1回ポータブルスキル診断を行っています。実際の結果は、8角形のグラフで表示されるので、対角線上にあるスキルを同時に伸ばしていくことが希少性を高めるポイントと従業員に伝えています」
例えば、「対課題力」のうち、相反する力は、
試行力-計画力
分析力-発想力
変革力-推進力
機動力-確動力
となる。試行力はあるけれど、計画力はいまいち少ないと感じるなら、計画力を伸ばすことで希少性が高まるということだ。
「この相反する2つの力をもっているビジネスパーソンは少ないです。始めは自分の強みを伸ばしていくことに注力していくことが大切ですが、それができるようになったら、相反する力を強化してくことが大切です」
小笹さんによると、スキル向上にはコツがあるという。
「高めるスキルを決めたら、すでにそのスキルをもっている人が行っていることを真似していくことがスキル向上への一番の近道でしょう」
まずは自分のポータブルスキルの高低を把握するところから始め、希少性の高いアイカンパニーとしての個人を目指していこう。
【取材協力】
小笹 芳央 (おざさ よしひさ)さん
株式会社リンクアンドモチベーション 代表取締役会長
1961年大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、リクルートに入社し、人事部で採用活動などに携わる。組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員などを経て独立。2000年に株式会社リンクアンドモチベーションを設立し社長に就任。13年から現職。モチベーションエンジニアリングという同社の基幹技術を確立し、幅広い業界からその実効性が支持されている。
著書に、『会社の品格』(幻冬舎新書)、『松下幸之助に学ぶ モチベーション・マネジメントの真髄―ダイバーシティ時代の部下の束ね方―』など多数。新書籍に『モチベーション・ドリブン』がある。
取材・文/石原亜香利