■連載/ヒット商品開発秘話
家庭でつくるおにぎりの具といえば、鮭や梅干し、おかか、昆布あたりが定番。振り返って見ると少なく、これらを繰り返し使っていると飽きられてしまいかねない。
現在、変わり種のおにぎりの具として注目を集めているのが、味の素冷凍食品の『おにぎり丸』である。2017年2月に発売された『おにぎり丸』は、温かいご飯と握るだけで栄養のバランスの考えられたおにぎりが完成する。現在、〈豚(ポーク)カレー〉や〈ちいさな豚角煮〉など9種類をラインアップ。これまでにシリーズ累計2000万個以上を売り上げている。
冷凍しているからこそ出せる美味しさの提供
企画されたのは2014年頃のこと。背景にあったのは、冷凍食品に対するあるイメージであった。マーケティング本部国内統括事業部開発マーケティング部の竹岡千賀さんは、次のように話す。
「冷凍食品は簡便性、保存性の点でお客様に購入されているところがあり、美味しいから購入するというイメージが弱いところがありました。美味しさを評価して購入してもらうために、冷凍しているからこそ出せる美味しさの提供を目指すことにしました」
味の素冷凍食品
マーケティング本部
国内統括事業部
開発マーケティング部
竹岡千賀さん
技術が向上し、昔に比べて美味しさが格段にアップしても、世間の評価はなかなか変わらない。味をきちんと評価してもらうために、同社は動き始めた。
まずは開発スタッフでアイデア出しからスタート。この過程で発案されたのが、おにぎりの具であった。なじみ深い和食、それも家庭の味であるおにぎりの具はバリーションが乏しいことから発想された。