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【開発秘話】シリーズ累計2000万個以上売れている味の素冷凍食品「おにぎり丸」

2019.06.08

開発中は大量のおにぎりを試食

『おにぎり丸』が提供できる価値は、今までに握れなかったおかずの類が握れることにある。そこで、おにぎりだけで食事が完結するものを目指すことにした。ポイントは、栄養バランスが考えられた食事が摂れること。親会社の味の素が行なっている、トップアスリートも実践する、目標をかなえるカラダづくりの栄養プログラム「勝ち飯」の管理栄養士にレシピの監修を依頼し、開発にあたることにした。

『おにぎり丸』を使い握ったおにぎりを割ってみたところ(写真は〈牛すき焼き〉を使用)。メインの具材になる肉や魚だけでなく、野菜も必ず使い、栄養バランスを考えてつくられている

 アイデアは軽く数百種類も出てきた。まずはその中から、〈甘口ポークカレー〉〈野菜たっぷりビビンバ〉〈おいしいギョーザ〉〈ちいさな豚角煮〉〈甘くち麻婆豆腐〉の5つを発売することにした。どれもインパクトがあるが、「商品を知ってもらえるよう、驚いて記憶に残してもらうことを狙い、意外性のあるものを戦略的に開発することにしました」と竹岡さん。家庭での喫食頻度、子供が好きなもの、栄養バランスがいいもの、などを基準にして絞り込んだ。

2017年2月に発売なり、現在は終売になったもの。左から〈おいしいギョーザ〉〈甘くち麻婆豆腐〉〈野菜たっぷりビビンバ〉。〈おいしいギョーザ〉は再販要望が多いという

 5つに共通しているのは、常温では汁気があること。汁気のあるものを固められるのは冷凍食品ならではの特徴だが、具がご飯の熱で解凍されたときに汁気が染み出してしまうと食べづらい。握るときに溶けずに握りやすく、食べるときには口溶けが良く美味しいと感じられる粘度にする必要があった。また、肉のコロッと感、野菜のシャキッと感が残るよう、具材の大きさにもこだわった。

 開発スタッフが1日に試食したおにぎりの数は、最大で100個ととんでもない量だった。1日当たり1種類で20〜30個食べることも。試食だからといって小さなものではなく、一食分の大きさであった。

 中身以外ではパッケージにこだわった。『おにぎり丸』のパッケージは、ヨーグルトでよく用いられている個包装を連結したもの。「今までにない商品なので、売場で目立ちお客様に手に取ってもらいやすいもの、いつでもフレッシュな状態で使ってもらえるものという観点から、現在のものになりました」と竹岡さんは話す。

体験型イベントで理解を深めてもらう

 企画から3年以上の時間をかけて完成させた『おにぎり丸』だったが、竹岡さんは「今までにない商品なので、正直言ってお客様に受け入れられるかどうか心配でした」と不安だった。しかし、社の内外から高く評価されたことで、不安は晴れていった。

 まず社内では、誰もが「面白い」「うちの会社だからできること」と高く評価。「売ろう!」という雰囲気になり、営業部門が取引先への提案を楽しみにしていたほどだった。

 小売店はとにかく驚いたという。竹岡さんはいまだに、「すごい奇抜なことをしてくるね」と小売店のバイヤーから言われたことを覚えているとのことだ。

 ただ小売店からは、「お客様にどうやって手に取ってもらうかが勝負だよね」という指摘も受けた。社内にも、「今までにない商品なので、既存商品と同じプロモーションで手に取ってもらえるのか?」という懸念があった。今まで通りテレビCMを打ち、伝えきれない点はウェブサイトで補足しても、これだけでは消費者は味や中身の想像がつかない。

 そこで注力することにしたのが、体験型のイベントであった。子供向けのスポーツイベントに出店し、『おにぎり丸』でつくったおにぎりを子供たちや親に試食してもらい、実際に確かめてもらうことにした。店頭での試食と合わせて、発売から1年間は体験型イベントを精力的にこなした。

 同時に力を入れたのが、InstagramとTwitterを使った写真投稿キャンペーンである。ユーザーにSNSで商品を拡散してもらうことを期待した。

 SNSへの写真投稿では、おにぎり以外に活用している人が多いことも発見できた。思いもよらないアイデアレシピが多いという。同社でもアレンジレシピの紹介に力を入れ始めたところで、「おにぎりの具であることはしっかり伝えつつ、それ以外にも使えることを訴求し始めました」と竹岡さんは話す。

『おにぎり丸』を活用したアレンジレシピの例。上から、〈鶏の梅あえ〉を使った「きゅうりと長いもの梅和え」、〈照りマヨ〉を使った「照りマヨナンピザ」

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