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欧米で人気の複合レストラン「フードホール」は日本の外食市場に浸透するか?

2019.05.27

『チェルシー・マーケット』に遅れること13年、ニューヨーク随一の高級ホテル「プラザ」の地下に、2010年、セレブ・シェフ、トッド・イングリッシュのプロデュースによる『ザ・プラザ・フードホール』がオープン。この店は、ひとつのフロアに、異なるジャンルの料理を出す8つのカウンターが存在し、どのカウンターに座ってもすべての料理が注文できるという、今風のシステムを採用しています。オープン当初、筆者も一度訪れたことがありますが、ここで食べたタイ風麺は、人生で食べた中で最悪の麺類でした。が、それでも味音痴のニューヨーカーには十分ウケたようで、このフードホールが引き金となって、ニューヨーク中に「フードホール」と名のつく店が作られるようになりました。調査によると、2015年には全米で70に過ぎなかったフードホールが、3年後の2018年には190か所。今年中には250か所に届く勢いだそうです。

 特に、最近増えているのが、グランド・セントラル・ステーションの中にできた北欧をテーマにした『グレート・ノーザン・フード・ホール』や、ブルックリンにできた日本食専門の『ジャパン・ビレッジ』など、料理のジャンルを絞り込んだ業態。フードホールはニューヨークでどんどん進化を続けています。

 日本で最初のフードホールは、東京メトロが2005年に地下鉄・表参道駅の駅構内に作った商業施設「エチカ表参道」内の『マルシェ・ドゥ・メトロ』でしょう。ここは、作られたのがあまりにも早かったため、メディアでは「フードコート」と紹介されてきましたが、パリのマルシェ風の内装はお洒落だし、料理はそこそこ手が込んでいて、酒も飲めるし、雰囲気は完全にヨーロッパのフードホールです。

 続いて2014年、ヒルトン東京が、2階のレストラン・フロアを改修。和食の『十二颯』、中華の『王朝』、アメリカ料理の『メトロポリタングリル』、ラウンジ『ZATTA』の4店を『ダイニングフロアTSUNOHAZU』という一つの空間にまとめて、店の垣根を越えてどこの席からも全ての店のメニューを注文できるようにしましたが、これがニューヨーク式のフードホールの走りです(おそらく誰かがニューヨークに視察に行って、取り入れようと言い出したのでしょう)。

アメリカのフードホールの数の推移

『銀座大食堂』『銀座大食堂』は銀座松坂屋デパート跡に建った「ギンザ シックス」6階のフードホール。7つのカウンター式専門料理店と、テラス付きの『銀座モダンテラス』というゾーンがあり、この店からはほかの7店舗からアラカルトメニューを注文できます。中央には、中野の老舗果実店『フタバフルーツ』とコラボのフルーツパーラーが。

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