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学びたいという強い意志がありながらも金銭的に難しい場合、奨学金を利用すれば学ぶ環境を整えやすくなる。しかし、貸与型奨学金の場合は、奨学金の返還つまり返済の問題も考えないわけにはいかない。
奨学金の返済が何らかの理由で厳しくなったとき、どのように対処すればいいのだろうか。
今回の記事では、日本学生支援機構の「貸与型奨学金(第一種、第二種)」の返済免除の申し込み方法と返済の猶予について紹介していく。
奨学金(第一種、第二種)には複数の返済免除制度がある
日本学生支援機構では、奨学生であったが返済に何らかの困難が生じた場合、願出により免除されることがある。各種の返済免除制度を見てみよう。
奨学金が返済免除となる基本的な条件は死亡および障害(精神・身体)
奨学金が返済免除となるケースの1つ目は本人が死亡し返済ができなくなった場合。
そして2つ目は精神や身体の障害により労働能力を喪失、または労働能力に高度の制限を有し、返済が難しくなった場合だ。他にも市区町村が独自に実施している返還免除の制度もある。
【参照】返還が免除となる場合(返還免除) | JASSO(日本学生支援機構)
また、奨学金の返済が難しい場合は、返済免除以外にも返済額の減額が可能となっている。返済免除や返済期間の延長(返還期限猶予)以外の選択肢として知っておきたい。
奨学金の利用者は年々増えている。日本学生支援機構の奨学金は、平成29年度の時点で129万人の学生が利用。多くの人が利用している奨学金だが、その返済の仕方に悩む人...
奨学金返還の免除には大学独自の制度も多数
特に優秀な成績で入学した学生には、入学金や授業料が免除になる制度を導入している大学も多い。
また、入学後の業績やその他活動などの評価によって、途中から授業料が免除になることもある。
学問分野での業績に加え社会貢献でも免除に?
日本学生支援機構にある「特に優れた業績による返還免除」が代表的。
奨学金の貸与期間中に特に優れた業績を挙げたものを対象として、返済が免除される。この条件としては学問分野のみならず、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツによる活躍、またボランティアなどの社会貢献も含めて評価される。
【参照】特に優れた業績による返還免除制度について | JASSO(日本学生支援機構)
教員になると奨学金の返済が免除されるって本当?
2024年3月、文部科学省は優秀な人材を教員として確保するため、教職大学院を修了して正規教員に採用された人を対象に、大学院在学中に借りた奨学金の返済を全額免除する方針を固めた。
この措置は2024年度の採用から適用され、公立校だけでなく国私立校に就職した場合も対象とされる。
また、教職以外の大学院修了者も対象とされる想定で、教育活動に関する実習経験があることなどを満たすのが条件となる。
看護師になれば免除となる? 看護奨学金制度
看護師・助産師・保健師を目指す学生を対象にしている看護奨学金制度というものがある。
看護学校の入学予定者や在校生を対象として、病院が学費を負担してくれるものだ。この制度の特徴として、定められた期間就業すると返済免除になる病院がある。
うつ病になってしまった時、奨学金の返済は免除される?
日本学生支援機構では、精神的な問題により労働能力を喪失、または労働能力に高度の制限を有し、返済が難しくなった場合の返済免除を行なっている。
うつ病は精神障害に該当する可能性があるため、まずは窓口に相談しよう。返済免除を申請する際は、所定の書類を準備・提出することで審査が行われる。
【参照】死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除 | JASSO(日本学生支援機構)