多拠点を移り住むことを前提とした新しいライフスタイル=「コリビング(co-living)」が、日本でも注目されている。
海外の一部の国ではよく知られているコリビングは、ノマドワーカーの増加や地域の人々との交流ニーズなど、いくつかの要因が需要の引き金となっている。例えば、米国では、約500万人がノマドワーカーとして働いている。ホステルやカフェを転々としながら仕事をする、非効率さを嫌う彼らの受け皿として、より落ち着ける環境で、ほどよく仲間・地域と交流ができる場が続々と増えている。中には、シェアハウスとコワーキングスペースが合体したようなところもあれば、食事付きというところもあり、形態は様々だ。
多拠点住み放題のサブスクリプション型サービス
このトレンドが日本にも波及し、コリビングのサービスを提供する会社が何社か誕生している。その1社がアドレスだ。4月にスタートした同社が提供する「ADDress」は、登録拠点ならどこでも住み放題のサブスクリプション型サービス。つまり、毎月決まった額を支払い続けることで、各地にある「拠点」で働き、暮らすことができる。
「ADDress」の会員になるためには、本人確認や反社会勢力でないかの確認のため、身分証明書のコピーの提出と、運営側の書類審査が必要だ。審査に通ると、会員専用サイトのアカウントが発行され、各地の拠点を利用できるようになる。料金は、個人(1人)であれば、年会員が月々4万円、半年会員が月々4万5千円、お試し月会員(最大3ヶ月まで延長可)が月々5万円となる(いずれも税込)。カップル・パートナーの2人組で1室使用できるオプションや、法人向けのプランもある。保証金や敷金といった初期費用はかからず、月々の料金には、電気、ガス、水道の公共料金、Wi-Fi使用料などが含まれている。
「ADDress」ウェブサイトのトップページ
利用できる拠点は、主に空き家・別荘をリノベーションしたシェアハウス形態の一軒家で、現時点(4月25日)では関東圏を中心に12の拠点が使える。アドレスによれば、拠点は順次増やしていき、年内に100拠点に増やす予定だという。
拠点によって築年数や間取りはさまざまだが、共用のリビング、キッチン、バス、トイレに加え、個室がある点は共通している。一部には、年会員と半年会員に与えられる固定ベッドが置かれているドミトリーがある拠点もある。基本的な家具・家電はもちろん、入浴用のアメニティも揃っており、少ない荷物で各地を移動するノマドワーカーなどに配慮したシステムになっている。旅行者や出張の多いビジネスパーソン利用者も多いという。
クラウドファンディングサイトMakuakeによる優先会員募集の大成功もあって、第1期会員の募集は定員に達しており、現在は同じくクラウドファンディングサイトであるCAMPFIREにて新規会員を受け付けている(~5月末)。