スコアが良い人はより良い条件に、悪い人は一生お金が借りられなくなる可能性も!?
信用スコアサービスは質問に答えていきスコアを算出するのが基本ですが、この情報に自分の購買情報や生活行動の情報が付加されるとどうなるでしょう。より精緻な信用スコアが計算できると思いませんか。
例えば年収600万円と申告したビジネスパーソンが、年間100万円分のネットショッピングをクレジットカードで利用していて、毎月しっかり銀行口座から代金が引き落とされていたとします。収入に対しての支出に余裕があり返済もきちんと行ってくれると評価されればその分信用スコアが上がっていきます。
ところでネットショッピングの情報やいつどこでどんなサービスを利用しているかという生活行動の情報は、サービスの提供者ごとに分かれておりデータフォーマットもバラバラです。
これらのフォーマットを統一して、データが改ざんされることなく履歴を追っていくためにブロックチェーンが活用できるでしょう。むしろ活用したほうがよいです。データのフォーマット変換はブロックチェーンに記録する前の機能ですが、記録先のデータフォーマットは全共通で利用できる必要があります。そうしないと信用スコアが正しく計算されません。
しかしここに罠が潜んでいます。良い購買情報や生活行動をしている人は信用スコアがぐんぐん伸びていきますが、日雇い労働でスマホ料金やカード代金が延滞しがちな人は、延滞したり仕事を変えたりするたびに負の情報が積み重なっていき、信用スコアがぐんぐん下がっていくことになります。
その結果、スコアが良い人はぐんぐん良くなり好条件でローンが組めるように。スコアが悪い人はどんなに性格が良くてお金を返すモチベーションを持っていたとしても機械的な判定でNGとなり一生お金が借りられなくなるかもしれません。
「金融機関もビジネスとしてお金を貸しているため致し方ない」と言って思考を止めてしまっていては、信用スコアによって新たな貧困層が生まれてしまう可能性もあります。これがブロックチェーンを活用し全データを記録して信用スコアを算出するときの罠です。
まとめ
信用スコアを算出するために必要なデータをあれもこれもブロックチェーンに記録すると、記録した分だけ精緻なスコアが計算できます。しかしこれは「良い行いをしている」人に対しての話。過去に事故を起こしてしまったけれど、事故を教訓にお金をきちんと返し計画的にクレジットカードを使おうとしている人を門前払いしてしまうというリスクを良しとするか悪しとするか。スコアリングサービスを提供する企業の事業志向に注目していきましょう。
取材・文/久我吉史
現役の金融ビジネスパーソンでもある金融ライター。ネット証券やネット銀行などを渡り歩き、ITから法人営業まで何でもこなす。最近は金融ビジネスをコーポレート(法務・会計)目線で作り上げるような毎日を送っている。