育児休業(通称・育休/育児休暇)中、大半の場合は給料が出ません。しかし、その代わりに「育児休業給付金(通称・育休手当)」という雇用保険から給付金を支払ってくれる制度があります。この記事では、育休手当に関する基礎知識をご紹介します。
なお、「給料」とは一般的に基本給を意味します。そして、「給料」や「諸手当(残業手当や住居手当・ボーナスなど)」の総省が「給与」です。
【関連記事】パパ、ママ必読!月給の3分の2相当の給付金が得られる「育休手当」の活用法
育児休業給付金とは? いくらもらえるの?
育休手当は、月給の3分の2相当のお金がもらえる便利な制度。
厳密にいうと、育児休業給付の1支給単位期間ごとの給付額は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(ただし育休開始から6か月経過後は50%)」です。
「休業開始時賃金日額」とは、育休開始前の6か月の給料を180日で割った金額。支給日額は1か月30日として計算します。
育児休暇中の給料代わり!「育児手当」はどこから出る?
育休中、給料代わりの収入源となる育休手当。しかし「育児休業給付金」は勤め先から出ているわけではなく、雇用保険(国)から支給されます。
ただし、「育児休業給付金」は民間企業に勤めている方に向けた給付金。公務員の場合も育休手当をもらうことができますが、名称や仕組みが「育児休業給付金」とは異なっています。
なお企業によっては、給料の代わりに手当を支給しているところも稀にあります。
公務員は育児休暇中に給料をもらえる?
前述したように、公務員も育休手当をもらうことができますが、民間企業の「育児休業“給付”金」とは名称・仕組みが異なります。
公務員がもらえる育休手当とは、「育児休業“手当”金」。これは、共済組合から支給されるものです。
なお、民間企業の育休は最大2年ですが、公務員は最大3年育休を取ることができます。ただし、育休手当に関しては民間企業と同じく「子供が1歳になるまで」が原則となっています。
育児休暇中の給料代わり!「育児手当」を計算するには?
育休手当をいくらもらえるか、自分で計算するのは面倒……という方は、下記のような計算サイトを利用しましょう。育休だけでなく、産休時にもらえる手当(口述)も含めて計算できるサイトもあります。
【参考】あなたの産休・育休の期間と金額を自動計算します。(社会保険労務士法人アールワン)
先輩パパ・ママは育児休業給付金をいくらもらった?
育休手当は育休に入る前の給料に応じて支給額が決まるので、金額は人それぞれ。しかし、経験者の生の声を聞くことで参考になることも多いはずです。思い切って周りの方に聞いてみましょう。
知人にお金のことを聞くのは気が引ける……という方は、先輩パパ・ママのブログやSNSなどをチェックしましょう。実際に支給された金額を公開しているブログも数多くあります。
男性は育休手当をもらえる? 育児休暇中に給料が出る?
男性であろうと女性であろうと、育休中に給料が出るケースはほとんどありません。
同じように、育休手当は男性も女性も受け取ることができます。条件さえ満たせば、契約社員やパート勤務の方でも育児休業給付金を受けることができるのです。
なお、育児休業給付金が支給されるための条件は、以下の通り。
■雇用保険に加入している
■1歳未満の子供を育てるために育休を取得している
■育休前の2年間で、11日以上働いた日が12か月以上ある
■育休中、休業前の月給の8割以上の賃金が支払われていない
■育休中の勤務日数が月10日(10日を超える場合は80時間)以下
■育休終了後に職場復帰する予定である
【参考】パパ、ママ必読!月給の3分の2相当の給付金が得られる「育休手当」の活用法
育児休暇中の給料代わり!「育休手当」の支給日はいつ?
育休中の生活に関わる育休手当。支給日の目安を知っておくことで、家計をやりくりしやすくなるでしょう。
育児休業給付金の支給日は原則2か月に1回(希望すれば1か月ごとに行うことも可能です)。
例えば4月20日から育休が始まったとすると、「4月20日~5月19日分」+「5月20日~6月19日分」を、6月20日以降に申請することになります。
そして厚生労働省によると、育休手当は支給決定日から約1週間で指定の口座に振り込まれるそう。
審査は半月ほどかかると言われているので、育休開始から支給日まで約3か月を想定しておくと良いでしょう。すぐにもらえるわけではないので、金銭的に余裕を持って育休をスタートできるように準備することが大切です。
育休手当はいつまで支給される?
※厚生労働省 平成26年作成のリーフレットより抜粋
育休手当がもらえるのは原則、子供が1歳になるまで。しかし、以下のケースでは期間を延長することも可能です。ただし、どちらも追加申請が必要となります。
[1]パパ・ママ育休プラス制度を利用
父親・母親の育休を合わせることで、子供が1歳2か月になるまで期間を延長できます(画像)。
[2]特別な事情がある場合
保育園の空きがなく入所できない/配偶者の病気や離婚などの理由で育児が困難となった時など。最大2歳になるまで延長できます。ただし「子供が1歳6か月になるまで」と「2歳になるまで」の2回、延長申請が必要です。
【参考】育休手当の支給日は?申請期限はいつまで?覚えておきたい「育児休業給付金」の基礎知識
「育児休業給付金が引き上げられました!!」(厚生労働省 平成26年作成のリーフレット)
育児休業給付金を1歳以降も延長した場合、いくらもらえる?
育休手当の給付を延長した場合も、通常と同額の育児休業給付金を受けることができます。
先ほど紹介した計算式に当てはめて「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育休開始から6か月経過後は50%)」で算出することが可能です。
育休中の収入や育休手当に関するQ&A
最後に、育休手当に関連してよく出る疑問を解消します。
育児休業給付金は給与扱いになる? 年末調整はどうする?
育児休業給付金は非課税所得のため、年末調整の際の合計所得金額には含まれません。
被扶養者の方も、控除対象配偶者に該当するかどうかの判定に育児手当の金額は含まれません。
産休中に給料が出る会社はある?
育休手当と同じように、産休中に給料が出る会社はほとんどないと言えるでしょう。その代わりに、企業によっては手当が出る場合があります。
また、全国健康保険協会(協会けんぽ)加入者は「出産育児一時金」や「出産手当金」が全国健康保険協会から支給されます。
育休手当の申請はお早めに! 子供が生まれる前から準備を始めよう
育休手当はとても便利な制度ですが、細かな条件設定や申請のルールがあります。
これらを理解しておかないと、「申請が通らなかった……」という事態も起きてしまうことも。子供ができたら早めに知識を身につけて、準備を始めることが大切です。
この記事を参考に、心配事を少しでも減らして、子育てに専念できれば幸いです。
文/bommiy
※データは2019年3月末時点での編集部調べ。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。