それっぽいアタリが続々と…
そして10時過ぎ、今度こそアマダイだろうというアタリがきた。キダイと似た引きながら、どうも今回は左右の降りより下方への引っ張りが強いような気がする。釣れたのはやはりアマダイ、第1号よりはサイズアップだ。正林さんは未だ、沈黙を守っている。
第1号よりは明らかにサイズアップも、アマダイとしては小型だ。
10時半、さっきのアマダイより強いアタリがくる。もしや50cm級とリールを手で巻くが、すぐにそこまで重くないとわかり電動スイッチ・オン。竿は度々大きく引き込まれるが、どう見てもアマダイの引きではない。念のためにとタモを持ってスタンバイしてくれた船長も、「アマダイじゃないですね」。正体はムシガレイだった。ムシガレイにしては大きめ、そして魚の形が錐体ではなく平体なので、引きが強かったのだろう。カレイは餌を吸い込むので針は口奥深くに刺さっていたが、練習が実り見事に一発で外せて気持ちいい。いや、こんなことで喜んでいる釣果ではないのだが……。
小物外道ではなく、このくらいのサイズにかかった針をスパッと外すと小気味いい。
小物外道を2、3匹釣った後の11時過ぎ。重くはないものの、トラギスやアカボラとは明らかに違う小気味いい引きの魚がかかる。超高級魚のアラだ。しかしこのサイズ(コアラ)ではいかんともなしがたい。いや実はこんなに小さくても出汁が凄くでて、味噌汁にすると格別に美味しい(ただしサイズ上、せいぜい1~2杯分)。とはいえ、調理の手間を嫌ってリリースした。
狙って釣りたいアラ。オデコ(釣果0)覚悟でいいから、アラの乗合船、どこかにないかな?
そんな時、ついに正林さんの竿がしなる。40cm級の良型だ。今思えば当初の思惑通り、ここで正林釣法を真似すれば結果は違ったかもしれない。しかしこの時点で僕は2匹、正林さんは第1号、外道のアタリも僕の方が頻繁だ。そこで真似はせず、以前から試したかった仕掛けを手にした。アマダイの仕掛けは通常約2m、錘が着底したらその半分の1mほど錘を海底から上げて待つ。海底には少々の起伏があるからこの動作を繰り返し、できるだけ餌が海底から1mの間を漂うにする。これがセオリーだ。
全長1mの短い仕掛けでベタ底狙い
僕が試したのは、全長1mの短い仕掛け。海底から50cmを探るベタ底狙いだ。アマダイは海底の砂の中に棲むというから、海底近くを徹底的に狙おうという作戦だ。時は12時過ぎ、残り2時間はこれで勝負とする。
長さ2.2mの王道仕掛けから、1mの邪道(?)仕掛けにスイッチ。
“錘が底に着く。糸ふけをとる。ゆっくり50cm上げるまでもなく、プルプルプルとアタリ”。この繰り返しの、大外道攻勢が始まった。ほぼ入れ食い。少々待っても当たらない時は、仕掛けを上げると餌がない。底近くには外道が群れをなしているのか、あるいは魚の活性が上がっていてチャンスなのか、などと考えていると本命っぽいアタリ。第2号とほぼ同サイズだった。本命が来たのだ。ベタ底作戦は間違っていない。外道が食う前にアマダイに食わせばいいのだ。だがどうすれば、“餌はアマダイ優先釣法”となるのだろう? 知恵を絞っていると、正林さんの竿がしなる。またもや40cm級だ。
終わってみれば、当日の船宿サイトに「アマダイは上がれば良型多かったですが、顔見るのがやっとで厳しかったです」とあるように、3匹釣った僕と正林さんがトップ(他にも3匹の人がいるかもしれないが)という貧果。同じ3匹でも、40cm級が2匹の正林さん、圧勝だ。聞けば「海底から1mを中心にそれより上も下も狙った」という。砂の中に棲むといいうアマダイ、大型は上がってきて餌に食いつくのだろうか? 相模湾のアマダイ・シーズンはそろそろ終了。謎解きは、秋に持ち越しだ。