■連載/石野純也のガチレビュー
出張や旅行で海外に行くときに悩ましいのが、通信手段だ。最近ではドコモやauが国際ローミングを24時間980円に値下げしており、以前より利用はしやすくなっているが、それでも10日間使うと1万円近い料金がかかってしまう。1日2980円の選択肢しかないソフトバンクや、海外でのデータ通信ができない格安SIMを使っている人は、さらに割高になるおそれがある。
海外で現地のキャリアが販売するプリペイドSIMを買うという手もあるが、わざわざショップに寄る手間がかかるうえに、料金プランなどを事前にリサーチしておく必要もあり、あまり気軽とはいえない。そんなときに頼れるのが、海外で使えるWi-Fiルーターだ。海外用のWi-Fiルーターは、レンタル事業者が複数存在するが、渡航が多い人は、借りるのではなく、買ってしまう手もある。
今回試したのは、Glocalnetの販売する「U2s」。モバイルバッテリー並みにコンパクトで、かさばらないためバッグに放り込んでおくことができ、重さも151gとスマホ1台分程度だ。料金体系の詳細は後述するが、海外では1日780円からと、ドコモやauの24時間ローミングより割安だ。このU2sを、実際アメリカで試してみた。ここでは、その使い勝手をお伝えしていこう。
1日780円からで、用途に応じた複数のプランが選択可能
GlocalnetのU2sには、クラウドSIMと呼ばれる特殊なSIMカードが内蔵されている。これは、ソフトウェアで書き換えられるSIMカードの一種。ユーザーが通信している場所を検知し、その国のキャリアの情報が自動でSIMカードに書き込まれる。ユーザーが意識する必要なく、現地キャリアに接続できるというわけだ。料金を780円からと安価に抑えられている背景には、こうした仕組みがある。
海外利用時の料金プランは、主に780円と1180円、1580円の3つから選択できる。780円は300MB、1180円は500MB、1580円は1GBで、容量は1日単位。日本時間の午前9時にリセットされる。今回試用したのはアメリカだが、東南アジアの場合、780円で500MB、1180円で1GBと、主に2種類の料金設定。東南アジアの方が割安、もしくはデータ容量が大きく設定されている。
“主に”と書いたのは、これらとは別に、大容量プランも用意されているため。こちらは段階制で、1GB未満の1580円から1GB刻みで料金が上っていき、9GB以上10GB未満で1万1800円まで料金が上がる。1日でこの金額になるため、個人で利用する場合には、あまり現実的な料金とはいえないが、基本的には法人で複数のユーザーが使うためのプランと考えた方がいいだろう。
この1日ごとの料金に加え、毎月400円の基本使用料がかかる。そのため、海外に行かない月はなんとなく損をしたような気分になってしまうかもしれないが、GlocalnetのU2sは、日本での利用も可能。国内でも、月500MBまでは基本使用料の範囲内で利用できる。500MBを超えると追加の料金が必要になるが、1GBまで530円、3GBまで1080円と、水準はいわゆる格安SIMに近い。