■連載/カーツさとうの週刊★秘境酒場開拓団
オヤジナリティー ★★★
家計貢献度 ★★★
エロテイスト ★
先日、偶然入った角打ち酒屋。これがなんとも緊張感あふれる独特の空気感であった!
東京メトロ・有楽町線の江戸川橋駅近くの銭湯サウナに入った帰り。駅に向かって歩いていると、なにやら怪しげな酒屋がある。看板には『I酒店(仮名)』とある。
外からチラリと店内を覗いて見ると、立ち呑み用と思われるテーブルが1m四方ほどのテーブルがドンと置かれ、どうやら一杯、
「やってますね」
といった風情のスーツを着た男の後ろ姿も見える。
はは〜ん、これは間違いなく角打ちだ。サウナ上がりといえば、そりゃあもうどんな状況よりも体の全細胞が水分を……それもアルコールの含有された水分を欲している状況。実はこの後、近くの江戸川橋公園での花見にさそわれていたのだが、時計を見れば、まだ20〜30分は集合時間まで余裕がある。
となったら、これはもうしょうがない!! プロドランカーの条件反射として、オレも一杯、
「やっていきますか!!」
と引き戸をガラガラと開けて店内に入っていた。
店内には、外からも見えたテーブルの手前に、ガラス張りの冷蔵庫があるんで、きっとそこから酒を取り出すんだなと思い、冷蔵庫の中身を物色していると、
「呑んでくの?」
という若干しわがれた声。なぬなぬ? と声のする方を見れば、店の奥に……まあ奥っていっても小さな店で、冷蔵庫からその“奥”まで1mくらいしかないんだけど、そこにはレジのような机があって、その向こう側にはお年を召した女性……毒蝮三太夫的にいえば「ババア!」がポツネンと座っていた。
女将さんである。
「あ、呑んできます」
そう応えると、
「じゃあこっち…」
と女将さんが自分の斜め後方にあるステンレス張りの業務用冷蔵庫を指さした。