-それは、恵ママのこれまでの人生を振り返っても、100%ツラい時期というものは、一度もなかったんですか?
恵ママ:ないですね。それはもう、本気で気持ちが落ちたこともありますよ。自分の人生がニューハーフだったことで、一番悩んだのは思春期の頃。普通の学校に行って、男子として、本当の自分を隠して生きてました。隠さないと本当に村八分にされる時代だったので。高校卒業までは隠し続けてきたんです。
-じゃあ、社会人になってからの方が楽しかった?
恵ママ:自分らしく生きられるようになったので。
-なるほど。そういう経験があるから、人生は上がったり下がったりだってことを分かっているんですね。
恵ママ:ツラいことがあっても、それは絶対に永遠には続かないと思います。明けない夜はない。例えば、正直お店でトラブルが起きたりもするんですよ。だけど、それもひっくるめていろいろな人間模様を見ていることで、楽しかったり、面白かったり、嬉しい気持ちになっていくんです。
-その考え方って、サラリーマンの仕事に持ち込めないかなって思うんです。恵ママは、お店のママとして、いろんなお客さんを見て総合的に楽しいと思えるんですよね。会社って、まさしくいろんな人の集まりなんです。どこに行っても、馬が合わない上司もいるだろうし、生意気な部下もいるだろうし、怖い取引先の人もいるかもしれません。そのメンバー全部がいるオフィスの様子を、自分がお店のママであるという視点で見て、その人間模様を楽しめないかな。自分が偉いマネージャーとかじゃないとしても、俯瞰で見れるようになれば。
恵ママ:もしそういう風に見れたら、おそらく仕事って楽しめるんでしょうね。すぐにできることじゃないかもしれないけど。そこで自分が置かれている立場をひっくるめて、その空間を第三者目線で見られる自分がいたら、たぶん楽しくなる。そういう感じで私はお店をやってますね。
-会社にいる自分とか、仕事って、実は割とロールプレイングだったりするかもしれないと思うんです。部長や課長だって、そういう自分を演じているのかもしれない。お店だと、お客さんという自分を演じて楽しんでいるのかもしれない。「今いる世界は私のお店」みたいに思えたら楽しいかもですね。今日はすごく良いヒントを頂けました。ありがとうございました。
恵ママ:…でもね、今日の話、きれいなことばかり言ったかもしれないけど、…本当は、ありますよ。
-え、何がですか?
恵ママ:お休みの日曜に、明日の月曜日大丈夫かな・・・とか思うこと。毎週ドキドキしますよ。一番あったのは、独立してお店を持った時ですね。お客さん来なかったらおしまいだ。来てくれるのかな。とか。ぶっちゃけ、お客さんが思った通りに来ないことだってあるわけですよ。サラリーマンみたいに決まった収入があるわけでもない。お客さんが来ないことがあったり、来てくれることがあったり、その上がり下がりのジグザグを長年繰り返して、ようやっと慣れたんです。ジグザグで仕事は成立するんだなって。
-わかります、僕、この話本当に共感しかないです。僕も大企業辞めて、給料が一切ない働き方になったわけです。最初の1年間、収入が少ない月は気持ちが落ち込んで、ちょっと多い月は喜んで…、その繰り返しで、定期的に凹んでました。それがようやく、仕事って言うのは、ずっとジグザグで、その平均で成立するんだ、たぶんこれからもそうなんだろうって思えてきたんです。今日気づかせて頂いたのは、収入の話だけじゃなくて、「気持ち」も全く同じで、上がったり下がったりして、平均して幸せなのが人生、それが当たり前なんだって思えました。恵ママ、ありがとうございました。
【お店の紹介】
GINZAおだまり
詳しい情報は、平安名 恵ママのブログをご覧ください。
https://ameblo.jp/kitashinchi-evergreen/
【聞き手プロフィール】
高橋晋平(たかはし・しんぺい)
株式会社ウサギ代表取締役、おもちゃクリエーター。あらゆるジャンルを「遊び化」することを考え、月曜日を楽しくする方法の研究もしている。最近開発に携わった商品に、カードゲーム『職業診断ゲーム わくわくワーク』や、相手を想い出したことを伝える鳩時計「OQTA HATO」など。新しい企画を“仕組み”で生み出すメモの技術を解説した書籍 『企画のメモ技』を2018年に出版。Twitter : https://twitter.com/simpeiidea
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