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上司に確認をせず、ひとりで勝手に判断してしまう社員の特徴

2019.04.08

■連載/あるあるビジネス処方箋

 この原稿を書く数日前に、出版社の担当編集者に仕事の金額を確認したところ、即答をしなかった。「上司に確認のうえ、早めにお答えします」と丁重に答え、2日後に丁寧な回答をしてきた。この出版社は新卒時の入社の難易度は50~60年以上前から業界で1~3位に位置する。さすがに、担当者の対応はよくできているように思えた。おそらく、社員教育はそれなりにできているに違いない。上司も何らかの指示を日ごろからしているのだろう。

 私が2006年以降、仕事を通じて接した編集者90~110人で、金額などについて上司に確認したうえで回答をするのは10人前後。残りの80人程のうち3割はその後、金額をめぐり、トラブルになった。上司に確認することなく、回答したがゆえに、提示してきたお金を外部委託である私に支払えないようになったことすらある。最終的に、金額が当初とはまるで違う場合は今なお多い。それに対し、当事者である編集者はノーコメントを貫く。退職者や現役の社員から聞く限りでは、会社としてこのようなトラブルを避けるための教育をしていないようだ。

 もともと、出版業界は中小零細企業が多数を占め、社員の定着率は概して低いこともあり、教育は行き届いていない。冒頭で紹介した担当者や上司はこの業界では少数派といえる。だが、上司に確認することなく、ひとりで判断する社員はほかの業界にも少なからずいる。今回は、このような社員の特徴について、私の取材を通じたうえでの観察をもとに紹介したい。

判断能力が低い

 上司に1日に数回は報告する。上司は報告に対し、できるだけ早く、正しく答える。そのプロセスで互いの考えや思い、意志、仕事のスキルやレベル、課題意識を確認できる。そして成長する。言い換えると、「報告を受ける、回答する」といった行為が十分に浸透していな中、互いに一定のレベルに達するのは難しいのだと私は思う。

 前述の編集者90~110人の中で、「仕事のレベルが高い」と感じたのは10人前後。この人たちは、上司にきちんと報告をしていると周囲の社員からは聞く。上司からの回答はもしかすると、間違ったものもあるのかもしれない。だが、頼りない上司であろうとも、報告し、回答を得るプロセスで、部下は何かを感じ、考える。この試行錯誤で、しだいに判断能力を養う。判断能力はたとえば、この企画を通すか否かといった判断をする力である。これは、上司などとふだんから何度も話し合う中で身についていく。上司に意見を言って指摘を受けたり、否定をされたりしていく中に学びがある。ひとりで殻に閉じこもり、仕事をしていくと、なかなか身につかないだろう。

 私が「この人は判断能力が同世代の社員に比べると低い」と感じる人は得てして上司との関りがあまりない。上司は部下育成に関心がさほどなく、事実上、育成を放棄しているようにも見える。レベルの低い上司からは、低いレベルの部下しか生まれないのかもしれない。

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