会見では非は潔く認めろ!
――これまで解決されたケースで印象に残っている事例はありますか?
賞味期限が切れていると苦情があった。購入した人が買った時点では切れていなかったのだが、ギフトとして受け取った人が2週間留守にしていて、受け取った時点で賞味期限が切れていたというものだった。
こちらに非がないので謝罪する必要がないのだか、最初に苦情を受けたお客様相談室の者がメーカーの持参した謝罪金1万円を渡そうとした。それを突き返され、金額を吊り上げられると判断した相手がごねて一カ月半経っても解決しないと、私のところに解決依頼がきた。会って2時間話を聞いた後、私は「百貨店は対応する必要はない。落ち度がないので打ち切らせてもらいます」と言った。相手はかんかん、「後日電話をする」と言う。
翌日電話があり、謝罪金が2万円ならないかと言う。「なりません」と一言、1万円を現金書留で送った。それで終了した。苦情者は対応する者の能力を警戒しています。
――これまでの謝罪会見で優れていると思ったものはありますか?
世界ランキングで2位だった桃田賢斗が、違法カジノ店で賭博をしていたことが明らかになり、日本代表の強化指定から外れ、世界ランクが抹消された事件。さらに彼は無期限の出場停止処分も受けた。だが、彼は謝罪会見で潔くそのことを認め、1年1カ月の謹慎を経て復活した。
今年5月に開催された「バドミントン日本ランキングサーキット大会」で復帰、同大会で優勝を飾っている。弁解もせずに上手い会見だったと言えるだろう。
ありがとうございました。
【Profile】
関根眞一さん
メデュケーション代表取締役(苦情・クレーム対応アドバイザー)百貨店のお客様相談室にて、数々のクレーム処理を担当する。これまでの経験から得た知識を活かし、2005年にメデュケーション株式会社を起業。「日本苦情白書」を始め、数々のクレームに関わる著書を出版し、官公庁をはじめ学校・行政まで、講演を数多くこなし、精力的に活動中。その他の著書に「となりのクレーマー」、「なぜあの教師は保護者を怒らせるのか」などがある。
取材・文/稲垣有紀