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IT業界はいつまで新3K(キツい、帰れない、給料が安い)なのか?

2019.03.29

「きつい、帰れない、給料が安い」の『新3K』が実態だといわれるIT業界。その大きな原因といわれるのが、下請け、孫請けなどの「多重請負構造」だ。その構造の問題に着目し、構造改革を行おうとしているのが株式会社SHIFT。IT業界の現状、そして構造改革の必要性、打開策などを探ってみよう。

IT業界の問題点は「多重請負構造」にあり

(画像はイメージ)

ソフトウェアの品質保証・テストの専門企業、株式会社SHIFTは、社長自らCMに登場するなどし、積極的にIT業界の構造改革の必要性を訴え、打開策を自ら実践、呼びかけをしている。

そもそも、構造改革が必要になるくらいの問題はどこにあるのか。SHIFTに聞いた。

「日本のIT業界では、企業や団体がITシステムの開発を発注したいとき、“SIer”と呼ばれる、システム開発のコンサルティング業者に一括発注します。そして、そのSIerが中小規模の各種ITベンダーに下請けとして委託する多重請負構造の開発体制がとられてきました。

日本のIT関連企業は、企業規模100名以下が全体の約半数を占め(経済産業省「平成26年特定サービス産業実態調査(確報)」2015年8月より)、その多くがSIerなどの大手企業からの業務受託または、関連プロジェクトで事業を行っています。この多重請負構造により、全体の大半を占める下請け企業に業務負担のしわ寄せが行きやすく、過酷な労働環境で業務を行わなくてはいけない実態があります」

多重請負構造により、下請け企業が被(こうむ)りがちな弊害は以下のようなものがある。

●下請け階層にいる企業が、スケジュール遅延などのしわ寄せを負いやすい。

●階層が増えれば増えるほど、下層の企業に対する報酬が少なくなる。

●業務負荷の大きさに対して、エンジニアとしての評価・キャリアが認められにくい。

●複数のベンダー企業が自社の専門業務のみを作業的に受託・実施し、企業間の連携が行われないことで、プロジェクトや製品の品質が担保されない。

『新3K』として「きつい、帰れない、給料が安い」と言われるのも、この多重請負構造が根本原因と見られている。

役職が上がっても待遇改善は期待できない?

(画像はイメージ)

「IT業界で働く」という観点からすれば、「給料が安い」のは大きなネックとなる。ITエンジニアは、役職が上がれば、待遇改善や給料アップは期待できないのだろうか? 少し突っ込んで尋ねてみた。

「ITエンジニアと言っても職種は多岐に渡りますが、どの職種においても、IT業界は、市場が求める課題やトレンド、スピード感に見合った成果を供給することができなくては評価されにくい世界ではあると思います。

特にITエンジニアは、個人が持つ技術や経験が重要な職種だけに、役職が上がれば、一概にエンジニアとしての市場価値が高いとは言えません。技術の進歩や、移り変わりが早い業界だからこそ、個人としては常に市場のニーズをキャッチし、スキルを高め続ける必要があると考えます」

働き手の給与アップや待遇改善を図るには、各企業や業界全体の価値向上も必要になる。企業・業界の取り組みとしてはどんなことがあるのか。

「日本の他企業や海外企業が確立している技術を後追いしているだけでは、IT業界全体の価値も、ITエンジニアの地位も上がらないと考えます。そのため、各企業が独自のノウハウや技術的特性を生かし、専門分野における正しい『分業体制』を確立することが価値向上につながると考えます」

SHIFTは、この専門分野における分業体制を重要視している。そして実際、企業として上流工程からのプロジェクトへと参画し、業務範囲の拡大、サービスの質向上、それらを追及するためのメンバーのスキル向上の努力を積み重ねた結果、業務の単価が向上し、結果的として正社員の年間昇給率 約10%を実現した。

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