短距離ながら市街地、高速道路、急勾配の山道をけっこうなペースで走った際の実燃費にも驚かされた。音声認識で「燃費を教えて」としゃべりかけたときのBMWの答えは10.0km/L。高性能スポーツセダンを気持ちよく走られた燃費としては文句なしと断言できる。
ところで、全車標準のACCなどドライビング・アシスト・プロフェッショナル機能に含まれるステアリング&レーンコントロールアシストの作動もなかなかだ。車線中央をキープしてくれる機能だが、それにステアリングアシストが加わり、例えば白線がS字になっている場所で真っすぐ走ろうとすると、白線内を走行すべく、かなりの力でステアリングを引き戻してくれたのだ。最先端の3眼カメラ+レーダーなどによるワンタッチで作動するACC、ブラインドスポットモニターなどと合わせ、極めて自動運転に近い機能、制御が絶大なる安全、安心につながるのは明白だろう。
そうそう、最後に触れたいのが、全幅が1825mmになって、狭い道のすれ違いや、万一のバックが心配・・・というユーザーへの朗報だ!? 新型3シリーズにはリバースアシストという機能が標準装備され、対向車とすれ違えないような場面で、直近50mの走行軌跡がメモリーされていて、リバースアシストスイッチを押すことで、自動かつ安全にバックしてくれるのだ(自動運転である)。オペレーターサービスやモニター類の充実度を含め、奥さまの了解を得るのにうってつけの殺し文句(の機能)にもなりそうだ。
価格はBMW330i M SPORTが632万円(試乗車のOPは含まれない)。現時点で購入できるもっともリーズナブルな320i SEは452万円。そのM SPORTが583万円となる。進化の内容のすごさ、最先端の先進安全支援システムの充実度からすれば、買い得感が極めて高いと思えたのも本当だ。今年の輸入ガソリンエンジン搭載車、スポーツセダンの目玉になることは確実だと思える。
BMW3シリーズ
https://bmw-3.jp/
文/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。