アメリカではネット企業を中心に、ユニークなアイデアを取り入れたオフィスがいろいろありますが、中でも一番ユニークなのが、Amazonの本社があるワシントン州シアトルのダウンタウンに建設した「The Spheres」でしょう。巨大なガラスドームに囲まれた建物を外から見ると、たくさんの植物が生い茂り、ツリーハウスの中でゆったり過ごす人たちの姿が見えます。そんなThe Spheresの中はどうなっているのかをここではご紹介します。
熱帯雨林を閉じこめたガラスドーム
The Spheresの計画がスタートしたのは2013年2月のこと。ガラスドームに囲まれた屋内庭園にするというアイデアは最初から決まっていて、世界遺産にも登録されているイギリスの王立植物園キューガーデンなどを参考に、3つの泡がひっついてできた月面基地のような建物が設計されました。
外観に使われているガラスは冬になると日光を取り入れ、夏は熱くなりすぎないよう特殊な仕様になっていて、全部で2643枚あります。それを支えているのは幾何学的な形をした白い鉄骨で、これらはパズルのように継ぎ合わされています。2015年6月に建築がスタートし、完成、オープンしたのは2018年1月のこと。今回はそれからほぼ1年目の訪問でしたが、ずっと前からある建物のようにシアトルの街中になじんでいます。
25,000以上の植物が育つオフィス
中に入るとまるで熱帯雨林アマゾンを訪れたように湿った温かい空気に包まれ、どこを見回してもいっぱいの緑が生い茂っています。「Living Walls」と名付けられた壁面には、生物多様性を再現するため25,000種類以上の植物が育てられ、季節によって植え替えたりもされています。さらに建物の中には巨大な木も植えられていて、川や滝の中では魚も泳ぎまわっています。
屋内は階段やスロープを使って移動でき、フロア毎に異なるデザインのテーブルやソファが置かれたスペースが設けられています。中には高い木の上のあるツリーハウスのようなスペースや、寝ころんで休んだり読書ができるスペースもあり、社員が快適に仕事ができるよう工夫されています。
カフェコーナーもあり、ここでは期間限定で地元の人気ショップがサービスを行うのだそうで、訪問した日はオリジナルのドーナツとKyotoスタイルのアイスコーヒーを提供する「General Porpoise」というカフェが出店していました。シアトル系と呼ばれる、オリジナルのスペシャリティコーヒーを提供するカフェがたくさんあるシアトルならではのサービスで、他にも1階に誰でも利用できるレストランがあります。