4.デスク環境の改善
「長時間過ごすデスク環境に一工夫することでも、首や肩の負担を軽減させることができます。液晶画面の高さ調整、ノートパソコンは外付けキーボードや外部モニター使用をおすすめします」
●液晶画面の高さ調整
「太もも座りをすると背中が伸びますので、普通よりも頭の位置が高くなります。正しい姿勢をとっても、液晶画面が下方にあっては結局、下を向くことになってしまい、首肩に負担がかかってしまいます。
そこで、太もも座りをして、良い首の位置をキープしたまま作業ができるよう、液晶画面の高さを調整します。低すぎる場合、椅子の高さを下げてもいいでしょう。いずれにしても、作業の姿勢をとって、実際に首に触れて力んでいないを確認してください。画面の高さの調整ができない場合は、モニターの下に台を置いて高くするようにしてみましょう。台は、高価なものである必要はありません。100円均一等で購入できるもので十分です。ただし耐荷重にはご注意を。
ちなみに、眼精疲労がもとでコリの症状が出ることもあります。眼精疲労がひどい方は、画面を高くしすぎると目の疲労を助長させてしまう恐れもありますので、首への負担との兼ね合いをみながら随時調整してください。
●ノートパソコンは外付けのキーボードを
「ノートパソコンの場合は、ノートパソコン自体を台に乗せて高くします。そうするとキーボード操作がしにくくなるため、外付けのキーボードと台を利用して、画面の位置を極力高くして下を向く角度を少なくしましょう。たとえベストな位置にできなくとも、数センチ画面の位置を高くするだけで、首の角度が変わりますので、負担も軽減されます。
キーボードを別途に購入しなければならないという経済的な負担はありますが、キーボード自体はリーズナブルなものもありますので見つけてみてください」
●外部モニターに接続する
「ノートパソコンを職場や自宅で使う場合は大きな画面の外付けモニターを使用してみましょう。液晶の外付けモニターは意外と安いですし、ご家庭の場合はテレビでも可能です。首肩への負担軽減だけでなく、仕事もはかどると思われます」
5.昼食や間食の工夫
「病気がもとではない首こりや肩こりの多くは、全身の筋バランス、姿勢、動作の不具合によって生じた負担が、首や肩に集約されることで生じます。また、運動器の問題以外にも、自律神経のバランスやストレスなども関与しています。ですので、生活習慣に配慮することも大切です。生活習慣のうち、ここでは食事という観点からの肩こり対策をご紹介します」
●血行改善の助けになる食事
「疲労した筋肉が回復するためには、血液循環の改善が大切です。血行改善効果のある栄養素は、EPA(eicosapentaenoic acid=エイコサペンタエン酸)とビタミンEです。
EPAは、サバ、サケ、イワシなどの魚介類に多く含まれています。ビタミンEはアーモンドなどのナッツ類や、ほうれん草やブロッコリーなどの緑色野菜から摂取できます。食事で血行改善を促したい場合、ランチで魚定食(副菜でほうれん草のおひたし付き)、間食はアーモンドが入ったものがおすすめです」
●ストレスに負けないための食事
「常に多くのストレスを抱えているなど、自律神経の乱れやメンタル的な負担は肩こりに大きな影響があります。ちょっと食事に工夫をするだけで神経の興奮や精神面にプラスになります。
必須アミノ酸の一つであるトリプトファンやビタミンB6は、心を落ち着ける働きのあるセロトニンの材料になります。トリプトファンは、肉、魚、大豆、乳製品に多く含まれ、ビタミンB6は、まぐろ、レバー、鶏肉、サケ、サバなどに多く含まれます。ついつい蕎麦やラーメンなど炭水化物多めになりがちなランチですが、たんぱく質を意識して、魚定食、豆腐料理、納豆巻きなどを選ぶのが良いでしょう。また、ブレイクタイムには、豆乳、カフェラテ、ヨーグルト、チーズ、ナッツ類、大豆系のスナック、バナナなどがおすすめです。ちなみに、ビタミンB6は、ニンニクにたくさん含まれていますので、休みの前日であればニンニク料理を食べるのも良いかもしれませんね」
デスクワーカーは、ぜひこれらの低コストな肩こり対策を取り入れて、より快適に仕事に臨もう。
【取材協力】
肩こりラボ鍼灸マッサージ院
肩こりラボ鍼灸マッサージ院は、通ってもうためではなく、治っていただくための治療院。カスタムメイド医療の理念のもと、カウンセリングに重きを置き、患者との対話を大切にする。個々の具合や要望を踏まえ、鍼マッサージと運動療法を組み合わせて、効果的かつ効率的な施術を行う。肩こりの根本的な改善を求めて、本全国から患者が来院し、たくさんの卒業者を送り出している。
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取材・文/石原亜香利