ひと昔まえは拡張性を重視してデスクトップパソコンを買う人も多かったが、省スペースや省エネ、持ち運べる便利さに性能の飛躍的向上もあって、いまや主流はノートパソコンだ。
その一方、軽さや厚みなどの可搬性を重視したことで、中身はギチギチに固められてしまっている。ユーザーに残された数少ない拡張性は、メモリ増設くらいだ。
ところが「たかが一時記憶領域の増設」と軽視できないほど、その効果はテキメンで、古いノートパソコンもたちまち早くなる。この記事では、そんな魅力のあふれるメモリ増設のアレコレをご紹介しよう。
【参考】
OS、CPU、メモリ、最新モデルでチェック!失敗しないノートパソコンの選び方
HDDとの違いは?HDDからの交換方法は?ノートパソコンのSSDを基本から徹底解説
始める前にこれだけは! ノートパソコンのメモリ増設に関する注意点
ノートパソコンやメモリモジュールは、いうまでもなく電子機器である。そのあつかいや選び方には、必ず守りたい注意点があるので以下にまとめておく。
1.静電気対策
メモリモジュールはもちろん、メモリスロットを露出させたノートパソコンの内部も、気軽に触ることは避けたい。指先から電子機器に静電気が飛び、回路や半導体に致命的な打撃を与える場合もありえるからだ。
人間の身体は衣服の材質や空気の乾燥具合によって、思いのほか帯電している。とくに冬は要注意で、クルマのドアノブなどで「バチッ」と来る嫌な経験をした人は多いのではないだろうか?
この対策としては、作業を始める前に、金属部分(ドアノブや窓枠)に触れて静電気を逃がすのがおすすめ。市販の「静電気防止手袋」や「静電気防止リストバンド」を使えば、さらに安全性を高められる。
2.メモリモジュールの種類を確認
パソコン用のメモリモジュールには数種類あるが、ノートパソコン向けは大きく分けて2種類、SO-DIMM(Small Outline Dual In-line Memory Module)か、SO-DIMMを更に小型化したMicroDIMMのどちらかだ。
パソコンのマニュアルやメーカーのWebページを確認すれば、自分のノートパソコンに適合するメモリモジュールの規格を確認できる。PC4-21300やDDR4-2666などの記号は、メモリ規格(PC4やDDR4)と、モジュール規格(21300や2666)を表す。モジュール規格は上位互換となっているが、基本的にはメモリ規格、モジュール規格ともにメーカー指定の物を選ぶのが無難だ。
3.なるべくなら同じメーカーの物を、2枚同時に交換
SO-DIMMなら大抵の場合、メモリモジュールはメモリスロットに2枚装着されている。
これは「デュアルチャネル」という、メモリのデータ処理を高速化する技術に対応させたもの。同じメモリ容量であることと、メモリスロットを対称使用すること(メモリスロットが2つなら気にしなくてよい)が動作条件となっている。
メーカーや動作速度をそろえることは必須ではないが、なるべくなら同じにしておくことをおすすめしたい。
ほぼ規格と容量に比例! ノートパソコンのメモリ増設にかかる値段
メモリモジュールの価格は、メーカー間でばらつきがあるものの、ほぼ規格(最新かどうか)と容量、動作周波数で決まってくる。同じ容量(8GB)で現在主流のDDR4で比べるならば、2133MHz動作(DDR4-2133)で8000円~1万5000円、3200MHz動作(DDR4-3200)で1万5000円~2万2000円、4000MHz動作(DDR4-4000)で6万5000円程度、といったところだ。