大きな体に子ブタの着ぐるみ
次の商談で失敗は許されない。以前しゃべりすぎて失敗したバイヤーさんの元に、再び商談に訪れた時は、年間の売上げの目標と、先月の売上げの数字の進捗や関連する数字を示して。「マイナス分を補うためにも特売をやらせてください」と。「女性が多く来店するドラッグストアは、新製品に最適です」と、焼そばモッチッチをセールスして、「だいぶ商談の流れが良くなったね」と、バイヤーさんには声をかけてもらえました。
営業としてやり甲斐を感じるのは、商談を通して希望通り、担当のお店の棚に自社商品を陳列してもらったり、特売を実行できて売上げを伸ばせた時です。
18年の3月、群馬にある僕が担当するストアに商談に訪れた時でした。去年、その店舗での売上げ目標達成までもう一歩というところまで来ていた。
「マイナス分をなんとかしたいんです。休日に試食を出してイベントをやれば、売上げが見込めます。是非お願いします」そんな提案をしたんです。
それまで、イベントをやったことがない店舗でしたが、実現することができました。身長184cmの僕には小さかったですが、うちのキャラクターのこぶたの着ぐるみを着て、「エースコックの試食販売を行っています。食べてくださーい!」と声を出して。ゲームをやって景品もつけて。子供や家族連れのウケが良かった。通常の倍ぐらい売上げました。
「提坂くん、新人の教育係をやってくれ」入社3年目で後輩が配属になり、課長からそう言われました。この秋から商談や担当の店舗の巡回等、新人と一緒に行動しています。
何せ僕は社会人として、できないことが多かったので、先輩にいっぱい怒られてきましたから。そういうことをしたらダメだよという感じで、怒られたことをそのまま新人に伝えればいい。そんな姿を見て先輩社員たちは「提坂も人を教えられるようになったんやな」と。
今、その言葉は僕に対するほめ言葉のように聞こえます。
取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama