焼酎への想い
八千代伝の初蔵出しから1年ほど経ったある日、八木酒造を訪ねた筆者が最初に案内されたのは猿ヶ城渓谷だった。ゆったりした音楽のような水音。深緑の優しさがいっぱいに詰まった山の空気。すぅーっと深呼吸すると、体の芯から洗われていくような心地良さだ。
「どうです、いいところでしょう」
清流を見つめながら満足げに話す八木栄寿さんは、自分の焼酎造りについてこんな話をしてくれた。
「米を担ぎ、芋を担ぎ、人の手でしっかり造っていく。目で見ながら、味を確かめながら、香りを嗅ぎながらやっていきたい。作業は大変だけど、人様に誉めていただける焼酎を造りたい」
杜氏の吉行さんにここでの仕事について聞くと、にこやかにこう言い切った。
「いい人生です。最高ですよ」
もうシビれるしかなかった。
取材協力/農業法人八千代伝酒造株式会社
http://yachiyoden.jp/
文・写真/西内義雄(医療・保健ジャーナリスト)