この世には「誰かに伝えたい知識」に溢れている。
「これって絶対便利!」と思っていることなのに、なぜかその知識が普及していない。そういう時、我々は歯がゆさを感じてしまう。もちろん、それを無理やり他人に押し付けてはいけないのだが、しかし生活にいい影響をもたらす知識は広く共有されるべきだ。
先日、筆者は自衛隊式靴磨きについての記事を執筆した。恥ずかしながら陸上自衛隊に筆者がいた期間はかなり短かったが(一応、今でも階級は持っている)、それでも生活に役立つスキルは教わっている。
今回は旅行に役立つ知識を、ひとつ解説していきたい。
フリーザーバッグに1枚ずつ
陸上自衛隊には「行軍」というものがある。
ナポレオンは「我が軍の勝利は、兵隊の足によってもたらされた」と語ったが、それは自衛隊でも変わらない。荷物と小銃を背負った状態で数十kmを歩く。それができなければ話にならない。
行軍の際、自衛官は背嚢すなわちバックパックを担ぐ。このバックパックには数日分の着替えを入れる。戦闘服はさることながら、Tシャツや下着も欠かせない。それらをパック詰めにして収める。
ここで言うパック詰めとは、食品などを保存するのに使うフリーザーバッグで下着の1枚1枚に至るまで小分けをするという意味だ。
写真の製品はダイソーで売っているものだが、本当は二重のジッパーを持ったジップロックがベストである。
これにまずは下着を入れるのだが、パンツが5枚あるとしたらフリーザーバッグも5枚用意する。もし1枚のフリーザーバッグに複数枚の下着を入れたら、パックが破けた時にそこから水漏れしてしまうからだ。
こう書くと現役の自衛官に怒られるかもしれないが、自衛隊の仕事とは「汚れること」と「濡れること」である。
基本、自衛官は傘というものを差さない。レインコートは着るが、心構えとして「雨が降ったら濡れるもの」ということを共有している。当然、雨が降ればバックパックもずぶ濡れだ。しかしその中身は決して濡らしてはいけない。
パンツを1枚単位で小分けするのだから、靴下も同様である。こちらも1組単位でパッキングしてしまう。
これを旅行に応用すれば、荷物の整理が格段にスムーズになる。たとえばフリーザーバッグの表面にマジックで「普段着」、「パーティーの日に履く靴下」と書けば、一目でその内容を把握し取り出すこともできる。