2.健康志向をベースに進化し続けている
「ビスコは時代のニーズに合わせて品質改善を続けている、常に『おいしさと健康』を体現するお菓子として進化し続けている商品です。例えば、ビタミンやカルシウム、乳酸菌などの栄養成分を強化したり、口どけ感がアップするようにビスケットに使っていた油を見直したりしています。実は、フレーバーごとに最適なクリーム量や最適なビスケットの厚みを変え、各フレーバーに合うように、機械だけでなく職人の手によって徹底した品質管理のもと生産されています」
3.防災意識の高まりによる非常食用途
「阪神大震災に遭った開発メンバーを中心に『防災用に長期保存できるものを』と企画され、またビスコの保存缶が、2010年国際宇宙ステーションにて撮影された写真に写っていることがインターネットで話題に。野口聡一飛行士の好きな食料として個人的に持ち込んだものだそうです。これをきっかけに、防災食品としてのビスコ保存缶の認知が広がりました。
そして翌年、2011年の東日本大震災をきっかけに防災意識がさらに高まり、前年の約9.5倍売り上げが増加。ビスコの健康イメージに加えて、ほっとするなじみの味、水が無くても食べられるクリームサンドビスケットであること、そして手軽にエネルギーが摂取できる『美味しい非常食』として人気が高まっていると考えています」
85年の歴史があるビスコが売り上げを伸ばした秘策は?
ビスコのようなロングセラー商品の売り上げを伸ばすことはむずかしいイメージがある。それでも売り上げを伸ばした秘策は何か。
「現行品の分析や購入者データを常にリサーチし、各フレーバーで異なるターゲット層を捉えられるようなラインナップに拡充したことが大きいと捉えています。母子から大人の女性までが『毎日がんばる自分のためのお菓子なんだ』と思ってもらえるコミュニケーションを設計したことで、新規顧客獲得による購入率アップにつながったと考えています。
また、子供のときから大人になっても、ずっと元気をくれる小さなお菓子として、『さぁ、ビスコでもうひとがんばり』という共通メッセージを軸に、広告から売り場まで一気通貫した展開をしてきたことも、ブランディングに寄与していると考えています」
【取材協力】
松井 桜子 (まつい ようこ)さん
江崎グリコ株式会社マーケティング本部ビスケットマーケティング部
プリッツのお土産商品の担当を経て、ビスコの商品企画・マーケティングを担当。
ビスコブランドサイト:http://cp.glico.jp/bisco/
取材・文/石原亜香利