
■連載/ゴン川野のPC Audio Lab
Introduction
10月27日と28日に東京・中野サンプラザにて開催された「秋のヘッドフォン祭 2018」において、「あなたが決める! ヘッドフォン祭アワード2018秋 一般投票」が実施されベスト10が発表された。それとは全く被らないのだが、私もヘッドフォン祭で気になった製品ベスト10を発表してみたい。
今回はヘッドホンアンプを中心に回った。イヤホンはDAPとの組み合わせを前提に設計されていることが多いが、ヘッドホンはやはりヘッドホンアンプで駆動してこそ、その真の力を発揮できる。上質なヘッドホンアンプは一家に一台欠かせないのだ。
Report
●XIAudio『SagraDAC』
ヘッドホンアンプがアナログで音質を左右するなら、デジタルの音質を大きく左右するのがDACである。ほとんどのメーカーが既存のDACチップを使って、その心臓部を形成するのに対して、XIAudioはR2Rラダー抵抗型DACを選択。厳選した抵抗を使って27bitディスクリートDACを製作した。なぜ1個のチップで済むDACをわざわざオリジナル回路を組んだのか、その理由はXIAudio代表のXiao氏は「DACチップを使ってD/A変換をおこなうと高調波ノイズが発生します。再生される波形もノイズによって歪んでいます。これを様々な手法で取り除いてキレイな波形を得ていますが、私は根本的にノイズが少なくシンプルな構成のR2Rラダーを選びました」と語る。
R2R抵抗ラダー型はCDプレーヤー登場と同時期に生まれた方式で、同時は抵抗の精度を揃えることが困難で16bitでもかなり難しく、24bitを作るのは非常に困難で、24bit以上のDACは作られなかった。現在はほとんどのDACが1bitになっているが、『SagraDAC』は何と27bit、しかもバランス回路! アナログ回路はクラスAで構成している。PCMは384kHzまで対応できるがDSDはPCM変換での再生となる。
理屈は分かったが肝心の音はと言えば、これがヘッドホンで聴いただけで明らかに音が違う。ボーカルはなめらかで力強く、中低域に厚みがある。それでいて解像度は高く、S/N感も良く、R2Rってこんなに音が良かったのかと茫然自失。これはスピーカーででも聞いてみる必要があるため借用を申し込んだ。海外でもまだ発売前で日本での価格は49万円を予定。これは楽しみなDACである。もちろんヘッドホンアンプとしても注目の製品だ。
中央に見えるのがオペアンプ、それを囲むように見えるのが216個の精度0.012%高精度抵抗である。
USBデジタルインターフェイスはお馴染みのXmosではなく、Amaneroの特注バージョンとのこと。これだけでかなり音が違うらしい。
バランス伝送対応のI2Sインターフェイスでのデジタル入力に対応。
豊富なデジタル入力は、入力トランスありなしのRCA2系統、USB、BNC、トスリンク、AES/EBU、I2Sと7系統もある。