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会社を辞める同期が羨ましく思える時、自らに言い聞かせること

2014.01.14

3.「転職する人=優秀」とは言いきれない

 そもそも、転職することがはたして「優秀」といえるのかどうか。私が取材で知り得た限りでいえば、中堅・大企業で、20代の頃から同世代の中で人事評価が常に上位10%以内に入る「エリート層」は、ほとんど会社を辞めることはない。ごく稀に、退職する人もいるが、多数派ではない。むしろ、短い期間(3年以内)で会社を次々と変えていく人は、業界や職種により多少の違いがあるものの、賃金などの労働条件や会社の業績、業界ランクなどを下げていく傾向がある。

 短いスパンで会社を次々と変えていき、最後に、企業して会社を上場させ、経営者として成功を収めるといったケースもほとんど聞かない。転職をすることは、その人が「優秀」と言い切るだけの根拠にはなりえないのだ。ビジネスの現場で「優秀」だと言われるためには、誰もが納得する根拠が必要だ。

4.自分の不満を見つめ直す

 他人の転職を羨ましく思える場合、自分の心に潜む不満の原因を直視していないのではないだろうか。例えば、今の仕事をすることの意味を見出すことができていない。だから、その職場を離れていく同僚の転職に何かを感じるのだろう。かつての私がそのパターンだった。まずは、今の自分の仕事の何が不満なのか、なぜ、そのように感じるのかをきちんと考えるべきだろう。

 特に、キャリアを形成する時期は、30代前半から30代半ばまでにある程度は決まってしまう。職務遂行能力などは、経験論でいえば、30代半ばでピークに達する。それ以降の、40?50代は、30代半ばまでに培った力を維持することに重きを置くべきだ。これらのことを踏まえると、30代前半までの人は、他人のことより、自分のことを最優先に考え抜いたほうがいい。自分自身のことを、もっと真剣に考え、焦り、悩んだほうがいい。自分のことに真剣でないから、人のことが気になる余裕が生まれるのだ。

5.不満を持てることは意識が高い証拠

 他人の転職に嫉妬することは、ある意味、向上心があり、意識が高いからともいえる。毎日を投げやりで生きている人は、きっと何も感じないだろう。「意識が高い」ということ自体が、貴重な武器であり、大切な経営資源であるのだから、むしろ、自信を持ちたい。「たしかに、私はジェラシーを感じているが、それは強さの証拠なのだ」などと思うべきだろう。実際、嫉妬するからこそ、いつか現状を打開することもできるようになるのだ。

(文/吉田典史)

ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。著書に「封印された震災死」(世界文化社)、「震災死」「あの日、負け組社員になった…」(ダイヤモンド社)、「非正社員から正社員になる!」(光文社)など、多数。

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