3.上司にとって“脅威”ではない
部署への貢献度が高いと、周囲の人がその社員を敬意の念でみるようになる。そして、「優秀な人」だと評価する。上司の中には、そのようなことを好ましくないととらえる人もいる。自分の身が脅かされるのではないか、と警戒し始める。上司は部下を育成しようとするが、自分よりも力を持つことは認めたくないもの。あくまで自分を中心とした体制を作ろうとするのがセオリーだ。あまりにも優秀で、さらには上司の面子などをつぶす存在だと認識されると、ますます嫉妬されるだろう。これでは、その部署に長く残り続けることは難しい。本当に優秀な部下は、上司の力量を見定め、嫉妬されないように仕事をするものだ。そして自分が上に立った時には、今度は下の者が自分を飛び越えて、上に上がれないようにするケースが多い。
4.「安定成長」をしている
上司が部下を長く残しておきたいと思う場合、その社員が安定的に成長し続けていることが必要になる。例えば、営業部でいえば、年を追うごとに契約額が増えていることがある。毎年の契約額の差があまりにも差が大きく、しかも、低い数字で止まっているならば、
上司としても計算が立たない。「今年はこのくらいの数字を残したから、来年はあのぐらいは稼いでくれるだろう」と期待されるようにはなることが必要だ。「しばらくはこの部署に置いておきたい、そのほうが助かる」と思わせるぐらいになりたい。
5.トラブルメーカーではない
例えば、部下が取引先や他部署とトラブルを起こしてしまい、大きなクレームがついたとする。その時、上司としては面子を潰されたと思うだろう。上司は、防衛本能を持っている。自らが仕切る部署では大きな問題はなく、部員らがきちんとした仕事をしていると思い込んでいる。また、そのように願っている。だからこそ、その秩序を乱すトラブルメーカーのことを「好ましくない人物」と捉える。今の部署に長く残ることがベストとは言い切れないが、少なくとも、異動した部署から短い期間で追い出されるよりはいいのではないだろうか。そのような人は、最後はリストラなどで辞めていかざるを得ない状況になるケースが多い。
もし、あなたの周りに該当する人間がいるようなら、なぜ、あの人は同じ部署に長く居続けられるのかということを、この時期、考えてみてはいかがだろう。
文/吉田典史
ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。著書に「封印された震災死」(世界文化社)、「震災死」「あの日、負け組社員になった…」(ダイヤモンド社)、「非正社員から正社員になる!」(光文社)など、多数。
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