4月1日付けで人事異動が行なわれた会社は多いだろう。それから、1か月以上が過ぎた。職場では少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるタイミングだ。周囲を見渡してみると、異動せず、部署に長く残っている人がいることに気づかないだろうか。ほとんどの社員が数年で異動するのに、なぜか長く残っている人。長年、様々な企業の取材を続けてきた私の経験では、それにはいくつかの理由が考えられる。今回は、その主なものを5つ挙げてみたい。同じ部署に長く居続けることが、その人のキャリア形成にとっていいのか、悪いのかは、様々な考えがある。ただ、こういう人たちの“姿勢”には、学ぶものがたくさんあるということに気づいてほしい。
1.上司との関係が良好
上司との人間関係がある程度よくないと、その部署に長く居続けることは難しい。激しい確執がある場合は、他の社員よりも長く残ることは不可能に近い。「上司のことは関係ない。仕事で高い実績を残せば、認められる」と反論したくなる思いもわからないでもない。だが、実績が高い人が高い評価を受けるとは限らないのが人事の評価だ。大多数の会社では、人事評価は相対的につけられる。大学の受験とは大きく異なる。ましてや、査定評価をつけるのは、あくまで上司。上司の心証を害すれば、低い評価を受けるのは当然のことだ。
2.“代わりがいない”仕事をしている
その人がいなくなると、職場がスムーズに動かくなる場合も、部署に長く残る可能性が高い。例えば、特別のスキルやノウハウを持っていて、それらが仕事に十分に生きているとなると、部署への貢献度は高い。しかも、他の社員がそのスキルやノウハウを持っていない場合は、貢献度は一段と高いものとなる。その人の代わりがいない以上、他部署へ異動をさせることは難しくなる。ただし、大前提として、そのスキルやノウハウに希少価値があり、それがないと部署が動かないほどに重要であることが必要だ。ありふれたスキルやノウハウでは、組織の中ではあまり存在感があるとはいえない。