仕事をしていくうえで、社外の企業と様々な取引関係があるものだが、問題が生じやすいのは、30代前半くらいまでの社員が発注側の担当者として、取引先に何かを依頼をする場合だ。当然、受注する側の会社にも担当者がいるわけで、これまでの私の取材経験から分析すると、双方のキャリアや経験、能力などの差が大きい時、特にトラブルが起こりやすいように思う。
特に、問題が生じるのが、受注側(取引先)が発注側の担当者を飛び越えて、その上司に仕事の相談などをするケースだ。要は、現場の担当者が足元を見られ、軽く扱わられているからこそ、そういうことが起こってしまうのだ。当然、飛び越えられた担当者は面白くないわけで、関係がぎくしゃくしてしまう。そこで今回はなぜ、取引先から軽く扱われるのかを、その理由について考えてみたい。
1.「プレイヤー」として未熟
取引先は、担当者と同じ職場で働くわけではないから、情報が足りない。だから、担当者がプレイヤーとして未熟だと、一段と警戒をする。例えば、打ち合わせの時にポイントを押さえた会話をすることができないと、不信感を持つものだ。さらにメールや電話のやりとりがぎこちなく、要領を得ないと、「本当にこの人は大丈夫かな」と思うこともある。ましてや、取引がその会社にとって非常に重要な意味を持つ場合は、失敗をしたくないから、担当者が頼りないと、強く不安を持つ。本音としては、「飛び越えることはよくないこと」だとわかりつつも、土壇場では担当者を飛び越え、その上司などに直接相談をしてしまうものなのだ。
2.相手(取引先)を押さえつけようとする
飛び越えられてしまった担当者は、得てして取引先を押さえつけようとする。「こちらは発注者だぞ」といわんばかりに、取引先に圧力をかけ、コントロールしようとする。本人はそのようなことを意識していなくとも、メールの文面などから相手は無言の圧力を感じ取るだろう。しかし、たとえ「発注→受注」の関係があろうとも、仕事の経験が浅く、要領をあまりにも得ていないと、ますます「この人では無理だ」と思われるだろう。信用されていないのに、押さえつけようとすると、ますます関係は悪くなる。ここは冷静に対処すべきところだ。