■“故障のリスク”を考えてみると
対照的だったのが、レクサスだ。
「『5年保証』はレクサスの意地のようなものです。壊れないから5年も保証を付けられるんですよ。そこが、インポーターとの違いですね」
壊れないクルマを造ることにおいて、トヨタの右に出る自動車メーカーがないことは、自他ともに認められているから、説得力がある。だが、他にも傾聴に値することを言っていた。
「実は、最近のクルマのほうが、複雑な部品が増えているので、故障の要素が昔と比べて減っているというわけではないんです」
これは、コンピュータ化、自動化によるメカトロニクスの増加によるものだという。たしかに、そのとおりだ。
「それも、レクサスよりドイツ車のほうが多いんですよ」
セールスマン氏は、レクサスに勤める前は輸入車ディーラーで働いていたからよく知っていると前置きしたうえで、その理由について教えてくれた。
「ベンツはよく、新型車に“世界初”や“クラス初”というような、画期的なメカや装備を搭載してきますよね。だから、故障が多くなってしまうんです。ただ、多くなってしまうのは、仕方がないことなんです。でも、レクサスはそこまで新しいものは装備しませんので故障のリスクは少ないのです。要は、どちらをとるかですね」
たしかに、この違いはクルマ選びで大きなポイントになる。そして、それをきちんと伝えてくれた、フェアで誠実なセールスマン氏に感謝したい。
「故障が少なくて、きめ細かなサービスをお求めになられるのでしたら、ぜひレクサスをご検討ください。ベンツやBMWは、最新技術だけでなく、製品自体の魅力で選ぶにはおすすめしますが、必ずしもそうでないのでしたら、レクサスですよ(力強く)」
そして、こう付け加えた。
「レクサスには“ハイブリッド”という武器があります。初代『プリウス』から長年磨き上げてきた、トヨタが世界に誇る技術です。『3シリーズ』にもハイブリッドモデルはありますが、価格がものすごく高いですしね」
ここで、ベンツの画期的な技術について言及したい。7月11日、まもなく発表される新型『Cクラス』には最新の安全技術が装備される予定だ。特に、受動衝突対策が画期的で、後方から追突されそうになると、玉突き事故を防ぐためブレーキを掛けて踏ん張り、ムチ打ち症を軽減するためにヘッドレストを前方に移動させて頭に密着させ、シートベルトを締め上げる。こういった動作を瞬時に行なうという。
前方のクルマに衝突しそうになる際の自動ブレーキや追随型クルーズコントロール、斜め後方の死角からの接近警告などもブラッシュアップされる。20万円をギリギリ切る値段でのオプション装備となるが、内容は群を抜いている。
「『3年保証』には消耗品も含まれています。含まれないのはタイヤぐらいですね」(メルセデス・ベンツ担当セールスマン)
それは確かにお得だ。ただ、繰り返しになるが、その分が車両販売価格に転嫁されていると考えることもできる。