■そして男の牙城が崩れる!!
それ以来、今まではたま?にしか連絡をよこさなかったI君がしょっちゅうオレにメールをしてくるようになった。
「そろそろいきませんか? フィリに」
“フィリ”というのは、もちろんフィリピンパブってことだ。まァ、オレも誘われたら行くよな、男だから。そして2000円だから! しかし一応セットは2000円といっても、敵もさるもので、なにかと支払いを多くしようと様々な誘惑をかけてくるのが、この手の店の常識だ。
「カクテル ノンデイイ?」だの「シメイ シテクレル!?」といった類だ!!
しかし、オレがここに来ているのは、2000円という安さがあるからだ! シメイをすれはそれだけでまた2000円がスッとんで行くのだ! オレは、「このクソビンボウじじい!!」といわれようがなんといわれようが「無駄な出費はせんッ!!」と頑なにその誘いを断ってきた。
だいたいカラオケ代1曲200円くらいは出してるからね、セット料金以外にも。それだけ出せば、もういいだろうと。いっくがオレがこの店のステージで郷ひろみの『ハリウッド・スキャンダル』を唄うのが好きだといっても、アンタ、200円出すっていうのはそうとう張り込んでんだからな。
しかし、いるんだよ、必ず誘惑に負けちゃうヤツが!! 御会計の段になると、やけに高かったりして、「アレ??」なんていってると、「すいません、指名しちゃいました…」なんてU君が急にいいだしたりするんだよ。指名するってオマエは大金持ちか? ビル・ゲイツの息子か!?
オマエだけ指名して、なんかフィリピン嬢に、「Uさん、カッコイイネ!」とかいわれて、一人でいい気分になりやがって、それで割り勘なんてコチトラ我慢できね?ぞ、このヤロー! コチトラ生まれてこのかたセコくセコく生きてんだ、バーロー!!
結果、次から行くときは、指名したヤツが全額払うというルールが生まれた! しかし、これがまた新しいドラマを生み出すのだった!!