3.反面教師として学ぶ
私の経験論でいえば、1、2を実践すれば、ある程度は怒りが収まり、冷静になれるだろう。だが、完全に収まらない人もいるかもしれない。そのような時は、「この人から学ぶものは何もない。今回、一回限りの相手だ」と割り切るようにしよう。すると、相手のことを反面教師として見ることができるようになる。例えば「メールの返信が極端に遅い人だ。自分はできるだけ早く返信するように心がけよう」といった感じで。仕事相手を冷めた目で見ることは決してよいことではない。が、あまりにも怒りがこみあげてくる相手なら、やむをえないと思う。繰り返すが、怒りをいかに沈めるかを考えるようにしたほうが、その後の仕事の進め方がスムーズになるはずだ。
4.自分を成長させるためのチャンスだと割り切る
1、2、3を実践すると、仕事の本来の意味や大切な部分があらためてわかる。つまり、仕事のポイントを再確認することができる。賢明な方なら当初からポイントを心得て進められるのだろうが、今回は「勉強だ」と割り切ってしまおう。今の相手と巡り合うことができたからこそ、自分を成長させる機会に恵まれたと言い聞かせるようにしよう。事実、相手が優秀な人なら、このようなチャンスは生まれなかったのだから。4が実践できれば、すでに相手は「どうでもいい存在」になっているはずだ。ここまで割り切らなければならないこと自体は本当に残念だが、仕方がないと思ってしまったほうが気分もラクになるだろう。
5.きれいに“フェードアウト”する
4までくると、もう相手に対する怒りはほとんど収まっているのではないだろうか。最後にすべきことは、相手と揉めることなく、きれいに縁を切ること。一応、1回だけとはいえ、仕事を一緒にした相手なのだから「ありがとうございました」と言い残し、関係をきれいに清算すること。終わったからといって、相手と不必要な議論や口論、喧嘩をすることは避けたほうがいい。そもそも、仕事への姿勢、考え方、思い、スキルなどに大きな差があるのだから、怒りが沸いてきたのだろう。その差は、なかなか埋まるものではない。だったら(最初から)縁がなかったものだと割り切りたい。ただし、このような思いを相手や周囲に悟られないようにすることが大切。露骨な態度で雰囲気をさらに悪化させることは絶対にやめること。
文/吉田典史
ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。著書に「封印された震災死」(世界文化社)、「震災死」「あの日、負け組社員になった…」(ダイヤモンド社)、「非正社員から正社員になる!」(光文社)、「悶える職場?あなたの職場に潜む「狂気」を抉る」(光文社)など、多数。