ご飯、パンに次ぐ「第3の主食」と言われているグラノーラ。グラノーラを含むシリアル市場をけん引するトップシェア商品が、カルビーの『フルグラ』である。
『フルグラ』はグラノーラにドライフルーツをミックスしたもの。1991年に『フルーツグラノーラ』として発売され、2011年に略称であった『フルグラ』を商品名にした。
発売から20年以上経過したロングセラー商品だが、2012年に大ブレーク。それまで年間売上が30億円台だったが、2012年度に63億円と急伸する。2013年度はさらに勢いを増し、95億円と大幅に伸ばした。2014年度については140億円が見込まれているほど好調だ。しかし、なぜ『フルグラ』は一気に注目され、大ブレークしたのか? その理由を解き明かしていこう。
■日本人の味覚に合わせて開発
そもそも同社のシリアル事業は、『グラノーラ』を全国発売した1989年から始まった。『グラノーラ』は米国では朝食の定番だったが、当時の日本では、ほとんど知られていない存在。同社は、この状態をチャンスと捉え、『グラノーラ』を上市した。『グラノーラ』を開発にするに当たって肝となったのが、食感だった。米国と同じにするか、日本人向けに改良するかで、議論になったという。マーケティング本部フルグラ部商品企画課 課長の網干弓子さんは、次のように言う。
「そもそもグラノーラは、食感がボソボソしているもの。当社では上市に当たり、食感を日本人向けにするかどうかで議論したと聞いています。最終的には日本人が好む味覚に合わせることにし、ザクザクとした食感になるように工夫しました」
カルビー
マーケティング本部?フルグラ部商品企画課課長
網干弓子さん
そして1991年に、『フルーツグラノーラ』が追加された。当時の『フルーツグラノーラ』と現在の『フルグラ』で決定的に違うのが、使われているフルーツ。現在がパパイヤ、レーズン、リンゴ、イチゴなのに対し、1991年当時はレーズン、クランベリー、パイナップルだった。
リンゴやイチゴは、日本人が好きなフルーツ。1995年にリンゴ、2002年にイチゴが採用された。だが、これらが『フルグラ』に採用された理由は、日本人好みだったからだけではない。「当時の開発担当者は、皿に盛ったときの見え方にこだわったと聞いています。見た目からしておいしく、朝から食欲をそそるものを研究・開発しました」と網干さん。見た目も重視した結果だった。