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トップアスリートたちの知られざる「座右の書」

2015.02.21

スポーツの世界でも、戦術論や組織論、リーダーシップなどの知識は大きな武器となる。第一線で活躍するトップアスリートたちの〝教科書〟となった本とは何か?。

◎自分を助けられるのは「自分だけ」

 トップアスリートともなると、多数の自己啓発書やビジネス書、経営書などを読み込み、自らの戦略に磨きをかけようと試みる選手は少なくない。中でも読書家として知られるのが、著書『心を整える。』がミリオンセラーにもなったサッカー日本代表キャプテンの長谷部誠だ。

 小説好きだった長谷部だが、ドイツ移籍後は哲学系の本を多く読むようになった。そのきっかけとなった本がデール・カーネギーの『人を動かす』。人間関係の本質に迫る同書は、1936年の発売以来、世界1500万部を突破する超ロングセラーとなっている。

「彼はひとりで過ごす時間の大半を読書に費やし、大学ノートに印象的なフレーズや自分が何を感じたかなどを書き込むほど、研究熱心。その教養の深さが自著にも滲み出ており、ビジネスマンにも人気を集めたのでしょう」(欧州在住サッカーライター)

 同じ日本代表の本田圭佑も読書家として知られ、独特の哲学をたびたび披露している。本田が最近、感銘を受けたのはサミュエル・スマイルズの『自助論』だ。欧米で成功した300人以上の評伝を集めた同書に引かれるところが、常に世界を意識する本田らしい。

「自分を助けることができるのは自分だけ」というスマイルズの主張が、特にお気に入りだという。

 同じく海外で活躍する長友佑都も読書家で、〝カーネギーファン〟であることが知られている。

 サッカー界ほどではないが、野球界にも熱心な読書家が増えている。元ヤンキースの松井秀喜氏は、星稜高校時代の山下智茂監督に読書を勧められ、プロ入り後も監督からプレゼントされた本などを熱心に読み耽っていた。『松井秀喜?献身力』などの著書があるスポーツジャーナリストの古内義明氏は言う。

「ヤンキースでの絶頂期時代、彼が最近読んで印象的だったと語っていたのが宮本武蔵の『五輪書』でした。勝つためには何が理にかなうかを説いた本です。松井は何事にも周到な準備が大切だと学び、より様々な状況を想定しながら練習するようになった。武蔵の戦術論はあらゆる勝負事に生かせるものだと考えたようです」

 巨人の菅野智之は浪人生活を送っていた時、ヤンキースから広島に復帰したエース右腕・黒田博樹が著した『決めて断つ』を読み、〝勝負術〟の参考にしているという。また、阪神の藤浪晋太郎は高校球児時代、長谷部の『心を整える。』を読みながら自らを鼓舞し、後に春夏連覇という大偉業を達成している。

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