3.テンションが高い
仕事を一気に、迅速に終えることができるのは、それほど意識が高く、前向きであるからだ。つまりは、テンションが高いのだ。しかし、これを長い間、持続させることは難しい。「2」で説明したように、それぞれの仕事のポイントを理解しておくことが大切になる。なお、テンションが高い人は、私が観察している限り、ジョギングやテニスなど、スポーツにも熱心に取り組む場合が多い。テンションを上げて、仕事を処理するスピードも上げたいのなら、適度にスポーツをたしなむこともおすすめしたい。
4.会社を辞める決断も早い
仕事を処理するのが周囲を圧倒するほどに早い人は、今の職場に残るか否かも素早く見極める傾向がある。「ここでは自分が大きな活躍をすることができない」「こんな会社は、ダメだ」と思えば、他部署への異動を希望したり、あるいは転職活動をしたり、社会人大学院などに進んだりと、進路を変えようとする。ただし、その決断が正しいのかどうかかは、誰もが正確にはわからないものだ。もちろん、本人もすぐにはわからないことだ。はっきり言えるのは、不平不満を言いながら、いつまでも残ることはしないということ。その見極めは、実に難しいものだが、あっさりと決めてしまうところがすごい。
あくまで、これは私の考えだが、会社を辞める決断を下すのが早いということが、必ずしもいいとは限らない。一定の額以上の収入を得ることができないのなら、生活はたちまち苦しくなる。短い在籍期間で転職を繰り返すと、キャリアアップどころか、キャリアダウンにつながる可能性が高い。それは、今後の人生の可能性を閉じていくことにもなる。
最後にひとつ。仕事を処理するのが早いことは、文句なしにいいことだ。それにケチをつけるつもりはない。だが、周りにいる人たちは、その人にコンプレックスや嫉妬心を感じる必要はないのだ。実は「仕事がめちゃくちゃ早い人」にも、それなりにミスなどはあるし、「完璧な人」ではないのだ。そういう人たちに振り回されることなく、自分の力を着実に伸ばすことを優先してほしい。
文/吉田典史
ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。著書に「封印された震災死」(世界文化社)、「震災死」「あの日、負け組社員になった…」(ダイヤモンド社)、「非正社員から正社員になる!」(光文社)、「悶える職場 あなたの職場に潜む「狂気」を抉る」(光文社)など、多数。