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人事異動や配置転換が多い人の傾向とその理由

2015.05.19

3.ひとつの部署の中で配置転換を繰り返す人

 例えば、企画部というセクションの中で担当する仕事が短期間で変わる人がいる。これは「人事異動」というより「配置転換」に当たるケースが多い。同じ部署にいる同僚より高い頻度で、その期間が明らかに短いようなら、必ず理由がある。可能性として考えられるのは、同じチームの上司や同僚から「こいつは役に立たない」「いてもいなくても一緒」の人材だと判断されていること。

 そして、同じ部署の中で、短期間で配置転換を繰り返す場合、最終的には他部署に異動する可能性が高い。水面下で人事部などがその社員の異動先(引き取り先)を探しているかもしれない。そして、あまりに人事評価が低い場合、引き取り先もなかなか現われない。どうしても見つからない場合は、その後も同じ部署に残ることになるが、活躍の場(チャンス)が与えられることはまずないと思っていいだろう。小さな会社の場合、退職を勧められることもある。場合によっては、可能性は相当低いが解雇の対象になることも。

4.広範囲で地方転勤を繰り返す人

 大企業の場合、地方や海外への転勤は頻繁に行なわれるが、異動の範囲があまりに広く、大きい場合、その人の評価はかなり低いかもしれない。例えば、東京本社から北海道の支社に転勤となり、その後、沖縄支社に転勤になるといった場合だ。その後、四国の支社から中部支社に転勤となるとする。ここまで東京から離れた場所を激しく行き来する場合、「幹部候補生」である可能性は低い。もし、評価の高い人材として「幹部候補生」に選ばれているのなら、もっと早いうちに本社に戻っているはずだ。あるいは、地方勤務であったとしても、大阪や名古屋など、大きな都市の支社に転勤となることが多い。

 これは海外勤務の人にもいえることで、他の社員と比べて海外の赴任期間があまりにも長い場合、会社からの評価が低い可能性がある。ニューヨークやロンドン、北京など大きな都市に赴任することなく、知名度の低い国の小さな拠点などを転々とする場合も然りだ。

 と、ここまで、私の取材経験をもとに分析したことを述べてきたが、最後にひとつ、アドバイスを。人事異動や配置転換を拒むことは、できるだけ避けたほうがいい。大きな会社なら、解雇になる可能性は低いかもしれないが、拒んだ時点で最も低い人事評価をつけられる可能性があるからだ。過去に取材した人に、大企業などで異動を拒んだ人が何人かいた。ところが、その後、5年以内に辞めていくケースがほとんどだった。家庭の事情などやむを得ない場合もあるが、会社員である以上、人事に関する発令は原則、受け入れなければならないものだということを肝に銘じておきたい。

文/吉田典史

ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。著書に「封印された震災死」(世界文化社)、「震災死」「あの日、負け組社員になった…」(ダイヤモンド社)、「非正社員から正社員になる!」(光文社)、「悶える職場 あなたの職場に潜む「狂気」を抉る」(光文社)など、多数。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)も好評発売中。

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