構想から約半世紀の時を経て、ついに東京?金沢間を約2時間30分でつなぐ北陸新幹線〝E7/W7系〟が走りだした。その先進的な意匠は、〝和の未来〟というコンセプトのもとに設計。その魅力をデザイン監修者が語る。
「〝和の未来〟がコンセプトです」
KEN OKUYAMA DESIGN
奥山清行氏
1959年、山形県生まれ。GM社、ピニンファリーナ社などのデザイナーを歴任後、KEN OKUYAMA DESIGNを設立。フェラーリ・エンツォのデザインも担当。
「北陸の青い空と伝統工芸品がモチーフ」
E7/W7系新幹線
設計を川崎重工、デザイン監修を奥山氏率いるKEN OKUYAMA DESIGNが手がけた。日本の伝統工芸品の象嵌(ぞうがん)を想起させるアイボリーホワイトの車体に、銅器をイメージした帯、沿線に広がる青空のカラーをあしらう。
約200億円以上という経済効果があると予測される北陸新幹線。そうした堅い話以上に、単純に「乗ってみたい!」という、格好良さがE7/W7系にはある。そのデザインコンセプトは“和の未来”。
と聞くと、多くの人が“和”は伝統的で、“未来”という単語と相反するように感じることだろう。この疑問に対する奥山氏の答えは、
「様式やスタイルは、時代とともに変遷するもの。むしろ、世界の様式美の中で〝和〟は常に最先端を走っています。そんな“日本の美”の要素を、現代のカタチに翻訳したのです。それが、単なる〝移動の手段〟となった新幹線を変えると思います」