■より美味しくするため、絶えず改良を実施
しかし、「ガスト」のメニューは一度完成したら、それで開発終了とはならない。美味しさの追求は怠らず、常に見直しを図っていく。『チーズ IN ハンバーグ』も例外ではなく、これまでに何度も見直しが図られてきた。
何度も見直しを図ってきた中で、大きな変更がこれまでに2回、実施された。最初の大変更は、2010年3月。このときはチーズが見直された。それまではホワイトチェダーチーズとモッツァレラチーズの2種類が主体だったが、カマンベールチーズを追加し3種類に。これにより、チーズのコクが増し、香りもまろやかにすることができた。2010年1月から試験販売が始まり、その後全国発売となった。
そして2回目の大変更は、2014年1月。このときの見直しについて、メニュー開発を担当した樋上悦也氏は、次のように説明する。
「このときの変更は、『チーズ IN ハンバーグ』をより美味しくするにはどうすればいいか、という考えからスタートしています。パテ、チーズ、ソース、などあらゆる角度から様々な試作を繰り返し実施。お客様がどういう点に着目し、どういうところに美味しさを感じ取っているのかをリサーチしています。味はもちろんですが、ナイフを入れたときのチーズのとろけ具合や食べやすさも見直しの対象としました」
樋上氏が「リサーチ」という言葉を発したが、このときの『チーズ IN ハンバーグ』の見直しは、それまでの見直しとプロセスとやや異なる。従来は、社内の関係者でジャッジしていたが、開発段階から外部の声を聞くようにし、マーケティングやリサーチの結果を重視するように方針を変更。リサーチ結果が良くなければ、商品として発売することができず、やり直すことになった。
開発は、チーズの配合比率はもとより、パテの材料変更や新しいソースもテスト。様々な角度から検討していたので、「つくった試作も数えきれない」(樋上氏)とのこと。外部の声を聞いて開発を推進する方針に変わったこともあり、樋上氏は「お客様が着目する点は人それぞれ。何が正しくて、どこに合わせれば一番支持されるのかを見つけるのが大変でした」と振り返る。
目で見てわかる最大の変更点が、チーズにある。ナイフを入れたときにあふれ出るチーズのとろけ具合を見直し、パテに絡みやすくした。そのために採用したのが、パルメザンチーズの追加。4種類のチーズを使うようにしたところ、パテとうまく絡む理想的なチーズのとろけ具合となった。
見直しに当たり、それまでのチーズについて社内・社外でリサーチしたところ、とろけ具合に不満があったことを知る。この問題を解決するために、ゴーダチーズをプラスするなど様々なことにトライ。最終的には、パテとの相性や香りからパルメザンチーズに落ち着いた。とはいえ、パルメザンチーズに決まっても、問題解決とはいかなかった。パルメザンチーズが多すぎるとチーズが固くなり、焼くとパテにあいた穴からはみ出てしまうといったトラブルも起きたことがあった。