■ブレーキは、無意識のうちに踏む
自分が、自分を、好きじゃない。自分を好きじゃないから、自分に何ができるか探求していない。自分が好きじゃないから、虚勢を張って、できるふりをし、せめて他人に好かれようとする。自分が好きじゃないから、無意識のうちに「どうせ……」と考え、自分に期待しない。何か面白そうに思えても、自分が好きじゃないから「私はこれをやろう!」と自分らしさを出すことに、自分自身が許可を与えない。
「これは、意識的にはアクセルを踏もうとしているのに、無意識のうちに、全力でブレーキを踏んでいる状態です。ここからは、少年院の子どもも、企業研修で来る大人も一緒。自分自身と対話し、まずは自分が何に喜び、何になら夢中になれるかを知ってあげるべきなんです」
周囲に、とてつもない力を持つ人はいないだろうか。飛び抜けて明るい、肯定的、エネルギッシュ……彼らは自分が何を楽しみ、何に夢中になれるかを知っていて「本当はこんなことしたくはないのに」といった潜在意識に行動を一切ジャマされない。だから、自分の力を全力で出せるのだ。
「その第一歩は、他人との関係でなく、自分自身で、自分を愛せ、評価できるようになることから始まるんです。他人の評価でなく、自分の評価で動いている人間は、非常に強いものですよ」
(第2回に続く)
取材・文/夏目幸明
1972年愛知県生まれ。早稲田大学卒業後、広告代理店へ入社し、ジャーナリストに。経営者、マーケター取材を主に、現在、週刊現代「社長の風景」、ダイヤモンドオンライン「ヒット商品開発の舞台裏」などを連載。