3.叱ることをおもしろがっている
信じられないことだが、稀に部下を厳しく叱ることで喜びを感じている人間もいる。決して多数ではないが、実際にいる。叱りつけ、部下が元気をなくしたり、落ち込んだりすることをおもしろがっている。その結果、自らの権力や権威を確かめることができるし、他の部下にもにらみをきかせることができる。部下が何も言い返せないと、このタイプはどんどんエスカレートする傾向がある。
あまりにもそれがひどい場合は、他の社員の前で、上司に思い切って言い返してもいいだろう。その場で論破されようとも気にすることはない。論破されるのは、当たりまえのことで、相手は上司だから。ただ、少しずつでも言い返すようになると、上司の激しい叱責は多少勢いが弱まるだろう。
その後、上司はあなたにつまらない仕事をさせたり、あえて人事評価を低くしたり、幹部や人事部などに、話を持ち込む可能性がある。だが、気にする必要などない。いじめをエスカレートさせた上司に、言い返したあなたが正しいからだ。だが、その場合、他の部員と今まで以上に親しくし、孤立しないようにしよう。おそらく、その上司はあなたを孤立させようとするはずだ。可能な限り、気丈に振るまうように心がけよう。
4.自身の不満のはけ口にしようとする
「3」と表裏一体のものだが、叱ることがおもしろいと感じる上司の多くは、何か別の強い不満を抱え込んでいる可能性が高い。仕事がオーバーワークであったり、昇格が遅れていたり、私生活で満たされないことがあったりなど、何かしらストレスを感じている可能性がある。そういったもののはけ口として、部下を必要以上に厳しく叱りつけているのだ。
そんなことをされても実に迷惑な話で許せないだが、こういう人間がいるのも事実である。もし、それに気づいたら「自分に落ち度があったのではないか?」などと考えるべきではなく、無視すればいい。上司も大人である以上、自分の感情を自分でコントロールするのは当然のことだが、それができない人は多い。
上司が部下に叱ること自体は「誤り」ではない。仕事のミスを繰り返したり、指示に従わないようなら、厳しく叱ることも必要だ。しかし、そこには「限度」がなければならない。「限度」を越えて激しく叱ると、「パワハラ」になる。今は、パワハラが否定される時代。そのことを上司が心得ていないようでは、話にならないし、管理職失格だ。だが、部下もまた、そのことをきちんと心得ておくべきことなのだ。健全な職場は、上司と部下が共に作っていくべきものである。
文/吉田典史
ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。著書に「封印された震災死」(世界文化社)、「震災死」「あの日、負け組社員になった…」(ダイヤモンド社)、「非正社員から正社員になる!」(光文社)、「悶える職場 あなたの職場に潜む「狂気」を抉る」(光文社)など、多数。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)も好評発売中。