親が亡くなってからの片づけでは「遅い」
帰省するたびに物が増え、雑然としていく実家。親に、「要らない物は捨てたら」とか「掃除・片づけを手伝おうか」とさりげなく言っても、「思い出深いものだから」、「いつかやろうと思っているのよ~」などと切り返され、片づけは一向に進まない。帰省のたびに同じやりとりの繰り返しで、心の隅で生前整理はあきらめている方も多いだろう。
しかし、「片づけなんて亡くなった後で、では遅いのです」と言うのは、一般社団法人実家片づけ整理協会の代表理事を務める渡部亜矢さん。
渡部さんは、総監修を務めたムック『実家の片づけ 親が元気なうちにしておくこと』(マガジンハウス)の中で、「親が元気なうちなら、手間も費用も気持ちも楽」と前置きし、実家片づけや相続のイロハを実例付きで述べている。
実家の片づけビギナーに役立つ『実家の片づけ 親が元気なうちにしておくこと』
本書は、最近になって実家の散らかり具合が気になった方向けの入門書として格好の一冊。「片づけ編」と「相続編」の前後半2部構成となっているが、前半のポイントを何点か紹介してみよう。
実家が片づかないのは理由がある
渡部さんはムックの中で、老親の住む実家が次第に散らかってゆくのは、はっきりとした理由があると述べている。その主な理由は、親の「認知力の低下」、「セルフネグレクト」、物をためこんでしまう「ホーディング」、「ダブルケア」(介護と子育ての同時進行)、「社会的孤立」の5つ。
その幾つかは、心身の老化に伴い顕在化するものだが、高齢でも「自分はまだまだ若い」という意識を持つ人は多く、良かれと思ってストレートな物言いをすると、かえって逆効果になることも。
帰省のたびに実家がカオスになっていく、というのは他人ごとではない(ムック7pより)