「ICOは絶好調!」というのはウソ!?
本特集冒頭のクロストークでも明らかになったように、「コインチェック事件」以降、仮想通貨の相場はかなり冷え込んでしまった。
そこで、一部の雑誌やネットメディアは、仮想通貨を活用した新しい資金調達の方法である「ICO」を取り上げる機会を増やし、さも、ICOのマーケットが盛り上がっているかのような記事を掲載している。
しかし、そうした傾向に警鐘を鳴らすのが前出の坂元氏だ。
「確かに、ICOで調達される資金は、今年に入ってからも拡大していますが、一般の個人投資家が利益を得やすくなっているかというと、むしろ逆です」(以下同)
と指摘する。その理由を説明する前に、ICOについて解説していこう。
仮想通貨なくしてはありえない資金調達
ICOとは「Initial Coin Offering」の略語で、直訳をすると「新規仮想通貨公開」となる。資金調達をしたい企業が独自の「トークン」を投資家に向けて発行し、資金調達をする手法のことだ(下図参照)。
通常、企業が資金調達を行なう場合、金融機関から借り入れをする、あるいは、株式を新しく発行して出資を受け入れるといった方法がある。ただし、こうした方法は手続きに時間がかかり、信用力の低いベンチャー企業などは困難である。
その点、ICOなら、事業内容に将来性があれば、ベンチャー企業でもインターネットを使って、わずかな時間で世界中の投資家からの資金調達が可能となる。
企業から投資家に渡されるトークンは、企業独自の仮想通貨。事業が軌道に乗って利益が出れば、トークンとの引き換えで現金を投資家に還元することになる。
つまり、ICOとは、仮想通貨とその安全性を担保するブロックチェーンの登場によって実現した資金調達方法といえるのだ。