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真空管アンプSUNVALLEY「SV-P1616D」をカスタマイズ、音質向上は狙えるか?

2018.10.11

■連載/ゴン川野のPC Audio Lab

Introduction

先日、製作した真空管アンプSUNVALLEY『SV-P1616D/多極管仕様』なのだが、音の切れはいいのだが、響きは300Bシングルに負けている気がする。発熱量なら負けないのだが…… もちろん出力管が直熱三極管と防熱ビーム管と性格の違う球なので当然のことなのだが、カップリングコンデンサーが違うのも気になる。実は300Bシングルアンプのコンデンサーは音質に定評があるJENSENというメーカー品に交換してある。KT150プッシュプルアンプもカップリングコンデンサーを交換してみたい。

さらに今回は、カップリングコンデンサーの交換だけでなく、次世代パワー半導体と呼ばれるSiCショットキーバリアダイオードを実験的に交換してみた。ハイスピードな音が期待できるのだ。

Report01

カップリングコンデンサーは交換して音質が変わるまで時間がかかるので、すぐに効果を発揮するダイオイードから交換する。整流回路のダイオードを変えただけで、そんなに音が変わるのかと私も思っていたのだが、SUNVALLEYのオフ会で研究発表されたM氏のデモンストレーションで、『SV-S1616D/300B仕様』のダイオードモジュールをノーマルからショットキーバリアダイオードに交換したとき、スピード感と音のキレ味が確かに変わった。名前が長いのでこれからはSBDと省略させてもらう。

シリコンダイオードはプラスからマイナスに変わるときにわずに逆起電力が発生。これがノイズになると言われている。ファーストリカバリーダイオードとSBDは、逆起電力が発生しにくいのだ。SBCの方が、さらに発生しにくいのだが真空管アンプに使われるほど耐圧が高いモデルがなかった。最近になってロームより『SCS205KG』などが発売され真空管アンプにも使えるようになった。

これを『SV-P1616D/多極管仕様』に使いたいのだが、本機の整流回路は基板化されており、ブリッジダイオードが使われている。基板にあるスルーホールを流用して『SCS205KG』をブリッジ接続で取り付ければいいわけだ。この改造はあくまで実験的な試みでSUNVALLEY非公認、私もオススメしないので詳細な配線については省略する。

配線にあたってカプトン(ポリイミド)テープを使って『SCS205KG』の裏面の金属部分を絶縁した。画像は幅の違うカプトンテープ4本セット。

SBCにはヒートシンク取り付け用の金属部分を絶縁するためにカプトンテープを巻いた。

作業に便利な上海問屋『DN-915466耐熱・断熱シリコン作業マット』を使用。500度まで耐えられるのハンダ付けができる。ネジやパーツを確実にキャッチするマグネット内蔵コーナーもさりげに便利だ。

電源回路の基板のスルーホールを流用してブリッジ接続した『SCS205KG』。

Impression

SBCにしてすぐに気付くことは、立ち上がりが良く、キレ味のいい音になったこと。ウッドベースの輪郭がクッキリして、ボーカルの音像定位が向上した。これに対して音色と響きに変化はない。特にギターの音が違う。透明感があってピッキングのスピード感とキレがいい。300Bシングルの音が甘すぎるとか、KT88プッシュプルの音の輪郭をさらにシャープにしたい場合に有効だ。音色が変わらないのがいい。逆に甘くてフワッとした感じが好きな人はノーマルのダイオードの方がいいと思う。

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