各クラブの人件費が急増
DAZN元年となった2017年シーズンは、J1の各クラブが上位進出(理念強化分配金の獲得)を目指して、積極的な強化策に動いた。その結果、各クラブの人件費が急増し、それに加え、J1とJ2の格差がさらに広がった。
上の表を見れば分かるように、J1の全18クラブの人件費は2015年度が269億円、2016年度が282億9600万円、2017年度が344億4580万円と年々増加傾向にある。さらに注目すべきは、16年度は前年度から約14億円の増加だったが、17年度は前年度から約62億円も増加したということだ。人件費の増加額が、DAZN到来で約4倍にまで急増しており、いかにJ1の各クラブが本気で強化に取り組み始めたかが分かるだろう。
鮮明になった格差
その結果、J2のクラブやJ1の小規模クラブでプレーしていた選手たちが相次いで、J1の上位チームに移籍する、すなわち“引き抜かれる”というケースが増加してきている。
特に今夏はその傾向が顕著に現れており、シーズン途中であるにも関わらず、古橋亨梧(J2・岐阜→J1・神戸)、大﨑玲央(J2・徳島→J1・神戸)、小野瀬康介(J2・山口→J1・G大阪)、畠中槙之輔(J2・東京V→J1・横浜FM)などJ2前半戦で際立った活躍を見せていた選手たちが、相次いでJ1のクラブに引き抜かれていった。
これまではこのような“引き抜かれる”形の移籍はシーズン終了後までは成立しない場合が多かったが、J1のクラブが戦力拡充のための積極的な投資を惜しまないようになったことで、シーズン終了を待たずとも簡単に良い人材を引き抜いていくようになった。すなわち、Jリーグも欧州のように弱肉強食の色がより鮮明になってきたということだ。