■連載/ヒット商品開発秘話
カラー芯に適した三菱鉛筆のシャーペン『uni Color(ユニカラー)』が好調に売れている。2017年12月に発売を開始してから、5か月で100万本売れたという。
『ユニカラー』はカラー芯にかかる負担を減らし、折れにくくしたのが特徴。現在、芯径は0.5mmと0.7mmの2種、軸色はピンク、レッド、オレンジ、グリーン、ミントブルー、ブルー、ラベンダーの7色で展開している。初期搭載芯は軸色と同じ色で、同社が開発した消しゴムで消せるカラー芯『ユニ ナノダイヤ カラー』を用いている。
カラー芯をもっと使ってもらうための安価なカラー芯専用シャーペン
どんなシャーペンでも、芯径さえ合っていればいかなる色の芯も使えそうなものだが、あえてカラー芯専用のシャーペンとして『ユニカラー』を開発したのは、初期搭載芯に使われている『ユニ ナノダイヤ カラー』と大きく関係があった。『ユニ ナノダイヤ カラー』はまず、2014年11月に芯径0.7mmタイプのレッドとブルーを発売。その後2016年に芯径0.5mmタイプ7色と7色入りのミックスを発売し、2017年12月に芯径0.7mmタイプにピンク、オレンジ、グリーン、ミントブルー、ラベンダーの5色を追加した。
消しゴムで消せるカラー芯『ユニ ナノダイヤ カラー』。上が0.5mm、下が0.7mm
『ユニカラー』を発売する以前の『ユニ ナノダイヤ カラー』ユーザーは、同社のシャーペンであれば、『クルトガ』などに入れて使っていた。しかし、『クルトガ』クラスの中価格帯は1本500円程度するので、7色全部使ってもらおうとしたら、シャーペン代だけで3500円もかかる。シャーペンのメインユーザーである学生にとって、3500円の出費は大きい。
『ユニ ナノダイヤ カラー』をもっと使ってもらうには、安価なシャーペンが不可欠--。こう判断した同社は、『ユニカラー』を企画した。商品開発部商品第1グループ 係長の甲斐千春さんは、「1本100円程度で、何色の芯が入っているのかがわかるものをイメージしました」と企画時の『ユニカラー』のイメージを明かす。
大前提は安いこと。芯全色分買っても金銭的な負担にならないことを重視した。
しかし販売価格と同時に、芯が折れやすいという問題もクリアしなければならなかった。カラー芯は製法上の理由から、墨芯に比べて柔らかく折れやすい。『ユニ ナノダイヤ カラー』はそれまでのカラー芯に比べて強度はアップしているが、それでも墨芯にはかなわないことから、『ユニカラー』はカラー芯が折れにくい構造を実現することにした。