■ひとりで仕事ができると思い込む
会社の仕事が、ひとりで完結すると信じ込んでもいる。だからこそ、相手を怒らせるような物言いを悪びれることもなくする。それでいて、自分が後輩などから軽く扱われると、過激な物言いで抑えつけようとする。こうして、しだいに浮いた存在になり、排除されていく。
ほとんどの会社員の仕事は上司をはじめ、同僚や他部署、取引先などで成り立つ。その根幹をなすのが、人間関係だ。だからこそ、多くの人は嫌いな人とでも、表向きは良好な関係をつくろうとする。
良好な関係をつくると、仕事の情報を素早く入手したり、仕事の方法などを教えてもらう機会も増える。この積み重ねで、実績に差がつく。攻撃的な物言いをしてメリットなど、何もないのだ。
このタイプは、得てして10代のころから集団生活の中で生きていくことが得意ではない。大学受験などのように、ひとりで黙々と勉強し、知識を獲得することができたとしても、組織の中で他人と関わり、良好な関係をつくり、その中で何かを成し遂げることを苦手とするタイプが多い。だからこそ、20代前半の頃から職場で周囲との摩擦が絶えない。
■中途半端に生意気
生意気で攻撃的であろうとも、20代で頭角を現し、30歳ぐらいで独立し、会社を経営する人もいる。だが、その多くは廃業や倒産の憂き目に遭う。このように独立するだけの力があるならば救いようはあるが、実際は、生意気で攻撃的な人の大多数は、そのまま会社に残る。つまり、どんがった部分がありながらも、中途半端なのだ。だからこそ、「ただ、生意気なだけ」と見られ、逆に攻撃を受け、ついには排除されていく。
生意気であることが、問題ではない。中途半端であることが、問題なのだ。30代前半までくらいで、全社員の中で数パーセント以内に入る力があり、それを裏付ける実績を残すことができたならば、少々、生意気であっても構わない。そのような人は、企業社会全体で1パーセントにも満たないが。
私が最近、見る30代半ばまでで失速する人の7~9割は自分をかいかぶり、高く評価しすぎて、他人に攻撃的になる傾向がある。読者の職場にも、こういう人はいないだろうか。反面教師として観察すると、学ぶものがあるはずだ。
文/吉田典史
ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)。
※記事中のデータ等は取材時のものです。