肌の悩みになる原因すべてを予防
『UVパーフェクションジェル』の商品化は、『クリームパーフェクション』の売れ行きにかかっていた。正式に開発のゴーサインが出るまでの間、できることを進め吉報を待った。
『クリームパーフェクション』との決定的な違いは、目に見える肌の悩みに対応したこと。テカり、カサつきの予防だけでなく、肌荒れとニキビの対策、UVケアをプラスすることで、肌の悩みになる原因すべてを予防することした。
機能だけでなく肌に塗ったときの感触も、『クリームパーフェクション』とは異なる。使用感がさっぱりするよう、ひんやり感が得られるものにした。
肌に塗ったときの感触を変えたのは、UVプロテクターの機能を入れたことと大いに関係がある。日焼け止めによくあるベタつき感を嫌う人が多いことと、「主に朝使われると考えられたので、洗顔後はできるだけ、ベタベタしたものを塗ることなくさっぱりしたい気持ちがあるはず」(川畑さん)と考えられたためだ。
また、使用感と同時にジェルクリームの粘度にもこだわった。『クリームパーフェクション』もそうだが、男性スキンケア商品にしては珍しくジャー容器を採用したこともあり、粘度が低く緩いと手に取れない。逆に粘度が高くなり固くなると、つけたときに伸ばせなくなる。固すぎたり緩すぎたりすることなく、伸びがいい粘度を、試作品をつくりながら探っていった。
なお、ジャー容器を採用したのは、格好良さからだった。「これには正直驚いたのですが、リサーチの結果、男性は女性っぽい化粧水を置いている洗面所を『女々しい』と考える人が多く、置いていいものはワックスなど男性として格好良く見えるもの、ということがわかりました」と川畑さん。洗面所に置いてあると格好良く男らしいものとして、ワックスに使われることがあるジャー容器を採用した。
男性ならではの行動特性からラーメン店とコラボ
『UVパーフェクションジェル』の売れ行きは、思った以上だという。また、『クリームパーフェクション』も引き続き好調に売れているとのことだ。
発売に当たり同社は、テレビCMを流し始めたと同時に、通勤中の方に見てもらいやすいという理由から、交通広告も積極的に展開。駅貼りや中吊りなどのほか、デジタルサイネージやトレインチャンネル(JR東日本が展開する、電車内で動画コンテンツを流すサービス)を活用した。
また、博多ラーメンの一風堂とコラボレーションした発売記念サービスも実施した。この異色のコラボが実現したのは、スキンケアをしていない人に、スキンケアをした方がいいということを気づいてもらうためだった。「男性がスキンケアの必要性を認識するのはどのようなときかを考えたら、ラーメンを食べて肌がテカテカしたときではないか、という結論になりました」と川畑さんは言う。
ラーメン店とのコラボは、SNS上での拡散という意味でも有効と考えられた。なぜなら、男性は女性ほどInstagramに熱心ではないが、「ラーメンの写真だけはアップする」(川畑さん)。ラーメンに絡めて何か面白いことができれば、拡散できる上に多くの男性にスキンケアをした方がいいと思ってもらえると判断した。
コラボでは、トッピングの海苔にスキンケアの心得を印刷した「男をアゲる海苔」を用意。「いい麺つくりたい一風堂。いいMENつくりたいウーノ」などといったメッセージ全10種類、合計50万枚を、4月からラーメンにトッピングした。川畑さんの読みは的中し、「男をアゲる海苔」がトッピングされた一風堂のラーメンの写真が、Instagramに多くアップされ拡散していった。
「男をアゲる海苔」に印刷されたスキンケアの心得例(左)と一風堂のラーメンへのトッピング例(右)
このほか、スキンケアの大切さなどを知ってもらうことを目的に、2018年4月から、男性を対象にした企業向けの「肌マネジメントセミナー」を実施している。セミナーはこれまで、サイバーエージェントを皮切りに、プルデンシャル生命保険、東京海上日動火災保険などで実施された。
研修の形式は、新入社員研修やマネジメント研修など様々。座学でスキンケアをする意味などのレクチャーから始まり、洗顔のやり方と保湿剤の塗り方を実践形式で教えるところまで網羅している。
「肌マネジメントセミナー」の1コマ。上がサイバーエージェント、下が東京海上日動火災保険での様子