同乗する警備員が使用する小型の盾は片手で使用する。相手の攻撃を防御しながら、自らの警棒などで相手を制圧する。
防犯スプレーは、暴れる相手に対して唐辛子の刺激物質、カプサイシンと同様の成分を含んだ液体を顔に吹きかけるもの。すると相手は刺激で目が開けられなくなり、鼻や口に入れば、同様に咳き込んだりして呼吸が困難になる。その間に制圧するためのものだ。ただし、ガスは周囲にも影響するため、乗客が完全に車両から避難してからの使用となる。
この警察官による説明はマスコミ関係者だけでなく、この後に実施される実車両を使っての訓練に参加する乗務員に対してのものでもある。実際に防刃ベストに防刃手袋をつけた車掌も盾の使い方の説明を聞いて、その場で簡単に練習した。気温30度が超え、強い日差しが照りつける炎天下、横で見守るJR東海の社員や乗務員達も真剣な眼差しで警察官の解説に耳を傾けていた。
次回は列車内で、犯人役をおいて現実の事件さながら行われた、「不測の事態対応訓練」の模様をレポートしていこう。
取材・文/松尾直俊
医療とフィットネス関連を中心に、旅や乗り物、防犯と犯罪からのセルフディフェンス術など様々な分野を取材、雑誌や書籍、Webメディアで執筆している。