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入省3年目の本音「相手の話をじっくりと聞くことができる監督官を目指したい」東京労働局・永田真梨子さん

2018.08.31

労働者を守るために何ができるか?

 労基署の監督官の権限では、民事のことに介入できません。でも、労働者にとって解雇を民事裁判で争うとなるとハードルが高い。

「労基署の上に労働局がありまして、労働局では民事の問題について斡旋、助言申請を受け付けているので、その制度を利用することもできますよ」と、アドバイスをすることもあります。

 斡旋助言制度では、こんな感じの話し合いになります。労働者は会社から嫌がらせをされ、辞めざるを得なかった。実質解雇だから例えば、支払ってもらえるはずの給与100万円を請求している。それを50万円でいいと。会社側も裁判されるより30万円なら払いましょうと。それなら間を取って40万円でどうでしょうかと、専門家が入って斡旋をする。

「これは参加が任意の制度で無料です。申請してみてはどうですか」と、提案をすることもある。

 東京に戻ったのは今年の4月ですが、夫を残して奈良に単身勤務した3年間では、相談に来署した人が後日、窓口で「永田さんと話をしたい」というケースが何回かありました。その時に窓口にいる人間が対応するので、労基署の窓口の相談は指名制ではないのですが、「指名されるような仕事をしないといけないんだよ」と、上司には言われていました。

 私が話を聞いた相談者には、自分の話をきちんと聞いてもらえたという安心感があったのではないか。だから私を指名してくれたのではないか。この3年間で少し自信が持てたのは、私は相手の話をじっくりと聞くことができる監督官なのかなと。

取材・文/根岸康雄
http://根岸康雄.yokohama

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