最近は少子高齢化による人手不足で就職環境は明るく見えるが、新卒者の3年以内離職率は3割台と高止まりが続き、上の世代でも雇用の流動化が進んでいる。新卒で入社して定年まで勤めあげる人の割合は、これからも低下してゆくことは間違いないだろう。
多くの人が1回は転職する時代を迎えて、1つのハードルになるのが、「辞めたい」とは思いながらも、辞めにくいという状況。理由として、在職期間が短くて気後れするとか、上司・人事部からの強い慰留が予想される、はたまたブラックな職場で「退職の意向を表明しようものならいじめに遭う」など様々ある。
エージェントが勤務先とやりとりし、速やかな退職をコーディネートする「退職代行サービス」
そんな人たちの心強い味方として最近注目されているのが、「退職代行サービス」という比較的新しい業態だ。「退職代行サービス」とは、その名のとおり、会社を辞めたい当事者に代わって、エージェントが勤務先とやりとりし、速やかな退職をコーディネートするというもの。
ネットで検索すると、そうした業者がいくつかヒットするが、その多くは非弁業者。そのなかで、「顧問弁護士から指導を受け、業務範囲の適正化に努めている」と公式サイトで謳っているセンシエス社のオンラインサービス「EXIT」が、毎月100人以上から相談を受けるなど、信頼が厚く評価が高い優良企業として認知されているようだ。
では、退職代行サービスとは具体的にどのようなもので、どういった人たちが利用するのだろうか? 同社の共同代表の岡崎さんと新野さんに何点かうかがった。
Q:「退職代行の依頼から、完了するまでの流れをざっと教えていただけますか?」
岡崎さん:「まずはLINE、メール、電話、いずれかでご相談いただきます。実施希望日時や必要情報などを伺い、料金のお振込の確認が取れ次第実行可能です。ご相談から実行までは早ければ数十分です。
ご本人からは退職届、貸与物を会社宛に郵送していただきます。場合によっては会社から送られてくる書類に記入して返送していただくこともあります。
基本的には、書類のやり取りが終われば完了です。手続きが完了するまで、弊社が会社と連絡を取り合ってサポートします。
自分ではほとんど何もしなくて良いため、『気軽に』退職できるというのがEXITの強みです」
気になる費用についてだが、相談料は無料で、退職代行にかかわる料金は正社員であれば5万円、アルバイトだと4万円だという。なお、わけあって再び退職することになった場合は、1万円の割引が適用される。
Q:「利用される方は、どのような事情があるがゆえに貴社に頼むことが多いでしょうか?」
新野さん:「退職を自分から申し出る事ができないという事情が多いですね。上司が怖い、入社したばかりで申し訳ないなど、自分で言えない理由は様々です。
前者の場合、上司が高圧的であるケースがほとんどで、退職を認めてもらえるはずがないと思い込んでしまう程、精神的に追い込まれている方が多く、実際に辞める事が出来た際はとても感謝されます」
新野さんの言うように、サイトの「退職代行事例」を読むと、「上司が代わってから、うまくコミュニケーションが取れず、休みがちになった。久々に顔を合わせても、挨拶を無視される」など、やはり職場の人間関係が退職願望の引き金となると同時に、なかなか退職に踏み出せないジレンマに陥るパターンが多い。そして、これが代行サービス利用に踏み切るきっかけとなっている。
「退職代行事例」を見ると、職場の人間関係の問題からEXIT利用へ踏み切る例が多い