仕事は「現場」へ行かないと見えてこない
及川:ときどき「『魂のルフラン』の〝ルフラン〟って何ですか?」って聞いてくる人がいるんだけど、今あなたの目の前にはパソコンがスマホがあるんだから、私に聞かないで自分で調べなさいよ、と言いたくなることがあってね。今って何でもメールやネットで済ませて、人と会おうとしないことが多くなってきた。でもやっぱりね、仕事って「現場」へ行かないと見えてこないものだと思う。それが作詞家の私は打合せであったり、レコーディングであったり、ライブであるわけ。作詞家って孤独なのよ。でもその孤独に耐えられないと仕事ができない。そしてその孤独がエネルギーになって、集って、ぶつかり合うのは現場しかないの。現場には「人」がいる。その人たちとコミュニケーションを取ることで、自分の間違いがわかったり、誰かのやり方を見て「そうやるんだ」って学んだりできる。だから私は「メールで済ませるな、現場へ行け」って言いたい。
右:『ネコの手も貸したい 及川眠子流作詞術』(リットーミュージック)
左:『残酷な天使のテーゼ/魂のルフラン』(キングレコード)
高橋:その通りですね! 人と会うってことって、簡単に済まない。メールやネットなどのツールを使うと簡単に聞けちゃうし、顔も見えない。誰だかわからないから、悪口も簡単に言えてしまう。でも「会う」って、責任を伴うもの。本来コミュニケーションって、そっちが本当だったはずなんですよね。もちろん調べてもわからなかったことを聞くのはわかります。けど、ちょっと調べたらわかるようなことを平気で聞いてくるって、私のことをそのくらいの相手だと見ているっていうことですよね?
及川:うん、やっぱり会う前にどんな人がちゃんと調べて来られると、こっちの「熱」が変わるよね。例えば本の取材を受けたときに、本にたくさん付箋が貼ってあるのを見ると、「ああ、事前に読んでくれたんだ」と思って話に熱が入る。人って、そういうものだと思うよ。
高橋:先日フランスで取材してくれたフランス人の方が、私のデビューシングルや、もはやウチのスタッフが見たこともないような古いCDとかを持ってきてくださって、質問もしっかりと私のことを聞いてくれて、とてもうれしかったな。でも逆に「適当に済まそうと思ってるのかな?」と感じてしまうような人だったりすると、「んー、どのくらいのボリュームでお話しましょうか?」って思いますよ(笑)。だから私もステージでご一緒する方とは、事前にお会いしたいんです。
及川:確かにメールが便利なところもあるのよ。証拠を残しておける、っていうね(笑)。メールって事前に考えて、100%ガチガチの文章を送れるわけじゃない? でも会って話すと、間であったり、冗談を言ったり、どこか緩む部分がある。そこをピュッとすくい取ると、アイデアになったりするんだよね。話をしている中で、その空間にふわふわ漂っているものをスッと持って来ると、この人こういうの好きだろうなというやり取りができて、「こういうことやりません?」みたいな提案ができる。そういうのって、会わないと無理なんだよね。
高橋:なるほどね。私はミュージシャンなので、会わないってことはないです。それなりに対応はできる。でもそれは自分のベストを尽くしたのか、というとそう言い切れなくなる。だから私はどんな状況でも、どんな些細なことも手を抜きたくないんです。「なんでそこまでやるんだろう」と思う人もいるかもしれないけど、そのズレが1ミリ、もっと小さい0コンマ何ミリでも、そのズレは後々どんどん大きくなって、一生交わらない線になる。少しのズレが大きな誤差になる、ってことに気づいてる人と気づいてない人には、大きな違いがあるんじゃないかなって思ってるんです。
及川:うん。だから私たちのやり方が「昭和的」と言うんだったら、それはそれでいい。
高橋:私も! 昭和得意です、って感じ(笑)。でも結局は人と人だから、どっちがいいですか、って話なんですよね。
及川:だって縁も仕事もカネも、持ってくるのは人なんだよ。
高橋:そうですよね。人と付き合っていくのって大変だけど、人は動物じゃないから、好きな時に食べて好きな時に寝るわけにはいかない社会にいて、コミットは避けることができない。それって大変なんだけど、やっていくと、その中から「好き」が生まれていく。それがコミュニケーションの醍醐味だと思うんです。
及川:だから最初っから「僕、コミュ障です」って言い訳するんじゃない、そう言って逃げるな、と思うの。
高橋:そういう人って、面倒臭がってるんですよね、揉めたりするのが嫌だから。だけど「じゃあ、あなたは一人っきりで生きていける?」というと無理なわけですからね。
及川:そうやって色んな人に会っていけば、世の中には嫌な人もいっぱいいるけど、絶対に自分が好きな人に出会えるからね。
人気アニメ「シンカリオン」と「エヴァンゲリオン」という2大アニメのコラボを記念して、DIMEが『シンカリオン 500 TYPE EVA』のオリジナルクリアファイルを制作! 誌面でも「シンカリオン×エヴァンゲリオン 奇跡の2大アニメコラボに学ぶ『神回』のつくり方」を掲載と、サービス、サービス!!
『残酷な天使のテーゼ』MUSIC VIDEO(HDver.)/Zankoku na Tenshi no Te-ze“The Cruel Angel’s Thesis”が、youtubeにて好評配信中
また
Apple Music/iTunes/にて全世界配信
https://itunes.apple.com/jp/music-video/id1403661959?l=ja&ls=1&app=music
また日本国内は
animelo mix/レコチョク/mora ほかでも配信。
ジョイサウンドでは新映像でカラオケが歌える。
選曲番号はJOYSOUND MAX2ほかにて《193496》。
対応機種はJOYSOUND公式サイトでご確認下さい。
取材・文/成田全(ナリタタモツ) 撮影/五十嵐 美弥 スタイリング/坂井望美
(C)カラー/Project Eva.